富樫勇樹に海外ファンが「MVP」コール 千葉ジェッツ優勝で完結したEASLに続く茨の道と希望 (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka


ホームのような後押しを受けて栄冠を手にした千葉ジェッツ ©EASLホームのような後押しを受けて栄冠を手にした千葉ジェッツ ©EASLこの記事に関連する写真を見る

【もっと注目されるべき大会】

 今回のファイナルフォーの開催地・フープスドームは、バスケットボールに関連した名称とは裏腹に、設備が整っているわけではなく、シャワーも完備されていないため、選手たちは宿舎に戻ってからようやく汗を流せるという環境だった。

 にもかかわらず、原修太などは純粋にバスケットボールを楽しむファンの前でプレーできたことに興奮を覚えた様子で、「またここでやりたい」と語った。そして、危惧される今後のEASLの継続についても「もっと、もっと注目される大会であるべきですし、サッカーみたいにみんなが出たいと思ったり、もう少しチームが増えて規模が大きくなるとさらによくなると思います」と続けた。

 千葉が優勝を遂げたことでBリーグの力を見せられたが、なかでも富樫勇樹の俊敏性を生かした魔法使いのようなプレーぶりは、バスケットボールが国技であるフィリピンの観客や各国メディアの耳目を大いに集めることとなった。

「MVP! MVP!」

 ソウルSKナイツとの決勝戦の最終盤。フリースローを打つ富樫に向けて、スタンドの観客はどよめくようなチャントを鳴り響かせた。富樫本人の耳にも入っており、現地のファンによるそれは彼にとって至福の瞬間だった。

 大会後、ファンの期待通りファイナルフォーの最優秀選手に選ばれた富樫が言う。

「ホテルで従業員の方たちなどを見ていても、すごくバスケットが大好きな国なんだというのを実感しました。フィリピンの方々もそれほど体が大きくないので、僕みたいな選手を見て何か感じたのか、さまざまなサポートをしてくれたので、すごくうれしいです」

 これが3年前ならばフィリピンで富樫のことを知っている人は多くなかったが、ヘンリー氏は「現在は違う」と力説する。

「今は、多くのフィリピン人が彼を見るためにチケットを買うわけです。それは彼が日本代表で活躍しているからだけではなく、身長がそれほど高いわけでもないのにあれだけやっている姿を自分たちに重ねられるからです」

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