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なぜサンズは渡邊雄太を獲得した? GMが語る成績だけではない評価とは (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

 そんな中で、デュラントは雄太の獲得に動くことを支持してくれました。昨季にネッツで一緒にプレーしたから、という理由だけではありません。"勝者"は"勝者"を知っているもの。デュラントは「雄太がどういう選手であるか」を熟知していたんです。

 デュラントはNBAの歴史に残る偉大なスコアラーですが、それと同時に最高級のチームメイトであり、チームを助けられる選手に感謝できるスーパースターでもあります。そんなデュラントは、雄太が重要な時間帯にウイニングプレーができる選手だと知っており、彼らの絆が本物なのは私にも見て取れました。

 私は現役時代、ロールプレーヤーとして13シーズンにわたってNBAでプレーしました。その経験があるから、同じような経歴を辿り、チームプレーヤーとしてチームに貢献する選手のキャリアをリスペクトできます。幸いにも3度にわたってファイナルを制覇したチームに所属できましたが、それでも雄太が成し遂げてきたことは、すでに私より上ではないかとも思っています。なぜなら、彼は日本代表の屋台骨を背負い、チームを押し上げてきた選手でもあるからです。

 私は、アメリカ代表の一員として世界のベストプレーヤーたちと対峙することはできませんでしたが、それがどんなに大変なことかは想像できます。日本をパリ五輪出場に導いた今夏の頑張りは見事でした。そういった姿を見てきたからこそ、彼の存在により感謝できるのです。

 サンズ入りが決まって以降、雄太とより深く交流することができました。普段の彼は、"物静かだが自信に満ちている"という形容がぴったりです。

 自分に自信を持っている人間は、自身を説明する必要も、自らの"セールスマン"になる必要もなく、頻繁に口を開きはしない。彼はコート上で自身を表現できる選手です。そんな雄太が、今季のサンズでどんな役割をこなしてくれるのか、どのような形でチームに貢献するのか。それも、これから確立されていくでしょう。

 プレシーズンの時点では起用法ははっきりとはわかりませんが、先ほども話したように、どんな形にせよ彼はチームの勝利を助けてくれるということは確かです。デュラント、ブッカー、ビールをはじめとする私たちのベストプレーヤーたちを、よりよいバスケットボール選手にしてくれるでしょう。そんな雄太のプレーが間近で見れることに、私もまたエキサイトしています。

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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