なぜサンズは渡邊雄太を獲得した? GMが語る成績だけではない評価とは (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

 現在のサンズは勝利に貢献できる選手、その力があることを証明してきた選手を必要としています。探していたのは、ハイレベルで競い合うことを恐れず、「勝利のためなら何でもする」という気概を持ったプレーヤー。雄太がそれに当てはまる選手だということは、わかっていただけるでしょう。

渡邊の獲得に動いた、サンズのジョーンズ運営部代表兼GM Photo by Sugiura Daisuke渡邊の獲得に動いた、サンズのジョーンズ運営部代表兼GM Photo by Sugiura Daisukeこの記事に関連する写真を見る これまでのキャリアを振り返れば、雄太が戦い続けることで道を切り開いてきたことは明白です。ドラフト外でNBAに挑戦し、Gリーグで腕を磨き、低迷中のチームと強豪チームの両方で経験を積み重ねてきました。どんな状況に置かれようと安定したプレーを続け、自身の役割をしっかりと理解している。同時に、彼自身が絶えず向上してきたことも忘れてはいけません。常に上達できる選手を抱えていなければ、NBAで優勝は勝ち取れないのです。

 具体的にプレーを見ていくと、デュラント、ブッカー、ビールといった複数のプレーメイカーを抱えた私たちには、ロングレンジのシュート力、ボールハンドリング、サイズ、タフネス、フィジカル面といった雄太の長所が魅力的でした。そんな選手がFAマーケットに出たのならば、全力を尽くして獲得に動かなければいけません。卓越したプレーヤー、優れたチームメイト、そしてすばらしいプロフェッショナルである雄太と契約できたことを嬉しく思っています。

 今オフの間、どの選手を補強のターゲットにしているかをサンズの主力メンバーには伝えてありました。私は、実際にコートに立つプレーヤーの意見をリスペクトします。NBAの舞台で勝利に貢献してきた選手たちは、同じように勝利を助けられるのはどういった選手かを熟知していますから。

 優れた個人成績をマークできるタレントはたくさんいますが、チームの成功に貢献できた上でのスタッツでなければ大きな意味はありません。個人プレーが目立つ選手を加えたところで、チームケミストリー、カルチャーの助けにはならないのです。

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