八村塁も渡邊雄太もウィンターカップで主役となった。高校バスケ最後の大会に賭ける5人のスター候補生 (5ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by Jiji Photo

 東海大諏訪は今年で9年連続、通算23度目のウィンターカップ出場ながら、最高順位は2度のベスト8。同学年のガードデュオ・石口直・高山鈴琉らとともに、チームを次のステージに牽引する意気込みは強い。

 すでにアンダーカテゴリーの日本代表候補に選ばれている中川だが、将来はA代表にも絡んでくる素材だ。今大会での爆発的な活躍を期待したい。

★山田哲汰(北海道・白樺学園/3年)

 188cmの長身ながらPGとしてプレーする逸材は、将来の日の丸を背負う可能性を秘める。得意のドライブインはスピードがあるだけでなく当たりにも強いため、さまざまなアングルからレイアップにいける。

 右利きではあるものの、食事などは左手を使うので両利きに近く、それもガードとしてプレーするにあたって有利に働いているのではないか。まだまだ向上の途上にあるものの、3Pシュートもよく、内外から得点できるスコアリングガードだ。

 個の能力を生かした攻撃力を強みとするチームにおいて、キャプテンでもある山田はそれを体現する最たる選手。今夏はU18アジア選手権で5試合に出場して平均4.6得点、3.6アシスト。ダンクも決めて、その名を周囲に知らしめた。

 シャンソン化粧品等で活躍した母・幾子さん(旧姓・奈良岡)の才能も受け継いでいる。高校卒業後は日本大学への進学が決まっているそうだ。ハーフコートオフェンスの際は、ゆっくりとしたテンポからドリブルでじわじわと中に入っていき、そのステップの踏み方は比江島慎(宇都宮ブレックス)に似ていなくもない。

 昨年のウィンターカップにも出場している白樺学園は、山田を含めて主力の多くが2年生だった。チームは2回戦で準優勝を果たした新潟・帝京長岡に敗れたが、その試合で山田は18得点、11リバウンドを挙げ、ハイスコアの乱打戦で存在を示している。留学生不在で他の強豪校に比べると高さは足りないが、司令塔・山田から始まる速いテンポのスタイルで上位をうかがう。

 山田はウィンターカップ後の成長も楽しみな選手だ。今後、ますますPGの大型化が主流となっていくであろう日本代表の候補の俎上にも上がってくる素材と言っていい。

【筆者プロフィール】永塚和志(ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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