東京五輪メンバー落選、強豪から最下位チームへの移籍。バスケ辻直人が厳しい環境を選んだ理由 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 課題は多いが、広島に来て、辻は驚かされたこともあった。広島のスポーツ熱だ。野球、サッカーの人気が高く、特に熱狂的なカープファンはとても新鮮だったと言う。

「野球は、本当にすごい人気で、驚きました。でも、広島に来た以上、僕は野球やサッカーに負けないぐらいにバスケを盛り上げていきたい。それができたら自分が広島に来た価値があるんじゃないかなと思います」

 緊急事態宣言中は、観客の人数制限がかかり、チームとしても能動的に動くことが難しかった。これから人数制限が徐々に解かれていけば、ホームでは調子がいいだけにファンも盛り上がるだろう。そうして、選手、チーム、ファンが一体化して強くなれば、優勝争い、そしてチャンピオンシップも見えてくる。

「僕が川崎に入った時、最初は最下位で、その翌年に準優勝して、その次の年に優勝したんです。僕と一緒のタイミングでニック・ファジーカスが入って、それからチームがガラッと変わった。そこで強くなり、人気クラブになっていったという歴史があるんですけど、広島でもそういう歴史を作っていきたいですね」

 そのために辻は、「なんのために広島に来たのか」ということを日々、自分に言い聞かせている。その思いは広島を徐々にだが強いチームに変えていくだろう。

FMヨコハマ『日立システムズエンジニアリングサービス LANDMARK SPORTS HEROES

毎週日曜日 15:30〜16:00

スポーツジャーナリスト・佐藤俊とモリタニブンペイが、毎回、旬なアスリートにインタビューするスポーツドキュメンタリー。
強みは機動力と取材力。長年、野球、サッカー、バスケットボール、陸上、水泳、卓球など幅広く取材を続けてきた二人のノウハウと人脈を生かし、スポーツの本質に迫ります。
ケガや挫折、さまざまな苦難をものともせず挑戦を続け、夢を追い続けるスポーツヒーローの姿を通じて、リスナーの皆さんに元気と勇気をお届けします。

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