「理想の上司」トム・ホーバスHCが説く男子バスケ日本代表のやるべきスタイル。「強くなるための魔法はない」

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

トム・ホーバス(バスケットボール男子日本代表HC)インタビュー@前編

 2021年11月下旬、バスケットボール男子日本代表の新たな指揮官となったトム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)が初陣を飾った。東京オリンピックで女子日本代表を銀メダル獲得に導いた手腕は、新たな舞台でどのように発揮されるのか。熱い人柄で一躍人気者となったホーバスHCに話を聞いた。

「理想の上司」と評されたトム・ホーバスHC「理想の上司」と評されたトム・ホーバスHCこの記事に関連する写真を見る---- 東京オリンピックでは女子日本代表が銀メダルを獲得し、ホーバスHC(ヘッドコーチ)の知名度は爆発的に上がりました。メディアに登場することもかなり多かったと思いますが、それについてはどう感じていますか?

「銀メダルを獲ったあとは、それがどれだけ大きなことか、自分としても理解していました。ですが、ここまで長く脚光を浴び続けるとは思っていなかったですし、私個人に注目し続けてもらっているのは少し不思議な感覚です。とはいえ、バスケットボールにとってはいいことですよね。

 一方で、この脚光もオリンピックでの結果があったからこそ。男子代表のHCとなって負け続けると、人々が手のひらを返してしまうであろうこともわかっています。私の仕事とは、そういうものだと思っていますから。

 いずれにしても、自分のすることに変わりはありません。最高のチームを作り上げることです。メディアに注目されることは一長一短ありますが、日本のバスケットボールのレベルを上げ、メジャーなスポーツにして、メディアなどに取り上げてもらえればとは思います。それも、勝たねばできないことです」

---- 女子代表から男子代表へと移ったわけですが、男子と女子の指導で違いはどういったところにありますか?

「男子代表については、彼らがBリーグのシーズン最中での代表活動にどれだけ疲れを見せずにやってくれるか心配でした。女子代表では長期間にわたって練習をすることができましたし、彼女たちも代表活動期間中は毎日最大限ハードにやってくれていましたから。しかし、男子の合宿を始めてみて、彼らが思っていた以上に激しく、こちらの要求することにも応えてくれたことに驚かされました。

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