「三井寿のセリフが痛いほどわかる」。Bリーグ最年長の五十嵐圭が語った『SLAM DUNK』の影響力 (3ページ目)
群馬クレインサンダーズでの新たな挑戦に向けて抱負を語る、五十嵐圭――五十嵐選手も「要チェックや」と対戦相手のデータをメモしたりすることはありますか?
「相手チームの情報は過去の対戦時のデータの蓄積もありますし、最新の情報はビデオコーディネーターなどに委ねています。ただメモはしませんが、チームメイトについてはオンコートだけでなく、オフコートでも言動を自然とチェックしているということはありますね。PGというポジションの職業病に近いかもしれないです。
例えば食事中、マイペースで黙々と食べるのか、やたら喋って食べるのが遅いのか。好きなものを先に食べるのか、最後に食べるのか。些細なことですが、性格などがわかると、コート上で、こういう場面はどうしたい選手なのかなどの判断材料にもなるので」
――先ほど「年下の監督やGMが増えている」とおっしゃいましたが、41歳になった今も現役を続けられる秘訣はなんでしょう?
「それが特にないんですよね(笑)。体調管理のために、これは一切食べない、これは一切飲まないというようなことはしませんし、サプリメント類も一切摂らないんです。食事に関しては結婚してからは妻が管理をしてくれています。今回の群馬への移籍も妻がついてきてくれてサポートしてくれるので感謝ですね。そもそも50歳まで現役を続けた折茂(武彦)さんがいるので、僕が現役を長く続ける秘訣を話すなんて恐れ多いです(笑)。それに選手それぞれというか、同い年の田臥(勇太)なんかは、僕と対極というかいろんな部分でこだわり強い。バッシュの紐を縛るのに何分もかけたりするくらいですからね。一度冗談で、"今は紐を縛らなくていいバッシュもあるよ"って教えたんですが、真顔で"いや、そういうことじゃないんだ"って言われました(笑)」
――自身のキャリアを振り返ると、やはり長く続けてきたなと感じますか?
「感じますね。だって『SLAM DUNK』を読み返すと、まだ試合が前後半の時代の物語ですからね。時代は変わったなって思います。僕ら世代だと、『SLAM DUNK』を読みながら、"そんなダンクできないだろ!""そんなプレーできないだろ!"と、少し手が届かないような要素がたくさん詰まっていたのが、今では当たり前、スタンダードなプレーになっている。中学生が試合中にダンクをしてもさほど驚かない時代ですからね。僕ら世代は、"『SLAM DUNK』に登場するような選手になりたい"と思っていたのが、今は一段階上がり、『SLAM DUNK』に描かれているようなプレーができれば、さらに上のステージ、例えばNBAのような海外リーグを目指せる時代になりましたからね」
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