憧れはイチロー。宮澤夕貴がバスケ日本代表屈指のシューターとなるまで (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by MATSUO.K/AFLO SPORT

 激動のシーズンを終え、宮澤はまたひとつ成長できたという。ただ、その代償として右肩など、体には大きなダメージが残った。宮澤は当面、右肩の治療とパフォーマンスを取り戻すことに注力している。

「昨シーズンはパフォーマンスが落ちたと思っていますし、それは見ている人もわかっていると思うんです。だから、右肩はもちろんですが、自分のパフォーマンスを早く取り戻さないといけない」

 そう思うのは、東京五輪が控えているからだ。エースである渡嘉敷の復帰は予断を許さない状況だが、女子日本代表はリオ五輪で8位だったように、頑張ればメダルに届く距離にいる。宮澤はチームの主力として期待されている。

「東京五輪は、以前は自分のためにと思っていたんですけど、今は周りの人のためにという気持ちが強いです。今まで支えてくださった方、家族、友人、先生、監督への恩返しだと思っています。自分が頑張ることで『私も頑張る』と言ってくれる人がいるので、そういう人たちのためにも一生懸命プレーしたいと思います」

 東京五輪が無事に開催されれば、圧倒的な声援を受けて女子日本代表が歴史的な大躍進を果たすかもしれない。皇后杯で主力が抜けても全員で優勝を勝ち取った経験が、宮澤の背中を押す。

 ちなみに、前回のリオ五輪が終わったあと、宮澤は記念に指輪を購入したという。もし東京五輪で女子バスケ史上初のメダルを獲得すれば、どんなご褒美になるのだろうか。

「なんですかね......リオの時は買う予定はなかったんですけどね。東京五輪のあとは、これからも頑張れるようにと思いを込めてご褒美を買うと思うんですけど。なんだろう? その時の気分ですね(笑)」

 なんにせよ、胸に輝くメダルがあればそれに勝るものはなく、宮澤が偉業達成に貢献すれば、憧れの選手に一歩も二歩も近づけることになる。

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