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栃木がBリーグ初代王者に。
勝利を決めた田臥、そしてギブスのダイブ (5ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by (C)B.LEAGUE

 試合後、篠山が「田臥さんに『まだまだだよ』と言われているようだった」と語ったのは、この勝負どころ一連のプレーを指すはずだ。

 CSで好調を維持し、この試合も13得点、ターンオーバーもふたつしか記録していないキャプテンの痛恨のミスだったが、北HCは「敗戦は私の責任」とかばった。

「ファイナルの会場は中立地の代々木第一体育館。しかし、さすが人気チームの栃木さんでした。会場は栃木のホームのような雰囲気。緊張感が高まる試合終盤の大切な場面ということもありますが、篠山はああいったミスをする選手ではない。栃木ブースターの大声援が与えた心理的影響が大きかったのではないでしょうか」

 この日、会場を埋めた観客は1万144人。そのうち多数が栃木ファン。勝敗を分けた瞬間、ファンの声援が6人目のディフェンスとなり、篠山のミスを誘発したと記すのは美しすぎるだろうか?

 ただ、個人的なハイライトを述べさせてもらうなら、その後の2プレーを挙げさせてもらいたい。

 試合残り16秒、85−79で栃木のリード。ほぼ勝利を手中にしながら、コート外に飛んだルーズボールを追いかけ、田臥が客席にダイブした。一歩間違えれば負傷しかねないシーン。凡庸な感覚からすれば、得点差と残り時間を鑑(かんが)みて、無理する必要はない状況にも思える。しかし、マイボールにできる可能性がほとんどないにもかかわらず、田臥は一瞬もためらわず飛んだ。

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