【NBA】南スーダン生まれのルオル・デンが語る「アフリカ愛」 (3ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 デンのそういった活動は、かつてボルから受け継いだことを伝えることであり、アフリカ・ゲームで久しぶりにプレー姿を見せたディケンベ・ムトンボ(コンゴ民主共和国/元デンバー・ナゲッツなど/C)や、アキーム・オラジュワン(ナイジェリア/元ヒューストン・ロケッツなど/C)と協力し合った。さらには、アフリカ出身の選手たちの力を束ねることで、より大きなことができるようにすることも心がけているという。そのためにも、アフリカ出身としての『誇り』を忘れないことは大事だった。

 昨年夏、デンは思いがけない人種論争に巻き込まれた。当時アトランタ・ホークスGMだったダニー・フェリーが、チーム内部の電話ミーティングでフリーエージェントだったデンについて、スタッフによるスカウティングレポートを読み上げた。

 その文書には、こうあった。

「彼は少しアフリカ人的なところがある。悪い意味ではない。ただ、表向きには立派な店を持っていながら、裏では偽造品を売るようなところがある」

 このやり取りは録音されていて、のちに公(おおやけ)となり、人種差別騒動として論争を呼んだ。そのとき、デンは声明で次のように応えた。

「誇りを持って言いたい。僕にはアフリカ的なところが『少し』ではなく、『たくさん』ある。人生を通してずっと、自分の(アフリカ人としての)アイデンティティは、誇りと強さの源だったんだ」

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