2015.08.19

【NBA】南スーダン生まれのルオル・デンが語る「アフリカ愛」

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 普通、NBA選手にとって、オフシーズンのエキジビションゲームがキャリアを代表するような試合となることはない。しかし、ルオル・デン(マイアミ・ヒート/SF)にとって、8月1日に南アフリカのヨハネスブルグで開催された「NBAアフリカ・ゲーム」は、それぐらい特別な試合だった。初めてNBAがアフリカ大陸で開催した試合で、アフリカチームの一員としてプレーしたことは、デンにとって忘れられない出来事となったのだ。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

南スーダンで生まれたマイアミ・ヒートのルオル・デン 試合後、デンは次のように語った。

「子どものころ、僕らはNBAの試合やNBA選手を見る機会はなかった。こうやってアフリカ大陸に戻り、アフリカでプレーできるなんて、言葉では言い表せないほどすばらしいことだ」

 デンのアフリカに対する熱い思いの源(みなもと)には、彼が子どものころに経験したことがあった。

 スーダンの一地域、のちに南スーダン共和国として独立した土地で生まれ育ったデンは、5歳のとき、内戦から逃れるために母や兄弟姉妹とともにエジプトへ逃亡した。運輸大臣を務め、内戦中に投獄されていたこともあった父は母国に残り、その後イギリスで合流するまで離ればなれの生活だった。

 エジプトの難民キャンプで暮らしていたとき、ひとりのNBA選手がキャンプを訪れたことが、その後のデンの人生に大きな影響を与えた。南スーダン出身の故マヌート・ボル(元ワシントン・ブレッツなど/C)だ。このとき、ボルはデンの兄たちにバスケットボールを教えたのだという。年上の子どもに教えることで、彼らが小さな子どもたちに教え、面白さを伝えていけるようになれば……という考えだった。