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F1リザーブ降格の角田裕毅は「すごく悔しい思いを抱えていた。でも同時に......」中野信治が明かす (3ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【理論派・岩佐歩夢のF1での走りが見たい】

 2025年はレーシングブルズのリザーブドライバーを務めながら、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)にも参戦していた岩佐歩夢選手もすごく頑張りました。

 日本とイギリスのレッドブル、さらにF1が開催される世界中のサーキットを行き来しながらSFに出場するのは、移動だけでも大変だったと思います。そんななかで岩佐選手はチームとマシンをしっかりと作り上げて、SF参戦2年目にしてタイトルを取ることができました。

 SFはすごくレベルが高いレースですし、勝つのは簡単ではありません。しかも2025年シーズンの岩佐選手はトップを走行中にマシントラブルに何度か見舞われ、苦しんだ部分がありましたが、最終的には結果を出すことができました。学習スピードも早かったです。

 能力的に言えば、岩佐選手は日本のほかのトップドライバーと比較して負けている部分はほぼないと思います。実際にSFでチャンピオンに輝き、レッドブルやレーシングブルズでシミュレータードライバーやF1マシンの実走テストも十分にやりました。あとは本番のレースに出場するだけです。

 彼のレースに対する向き合い方は、現役のドライバーたちが見習うべき部分がたくさんあります。自分の時間のほとんどすべてをモータースポーツに捧げていますし、モチベーションもすごく高い。それはF1を目指すドライバーとしては当たり前のことなのですが、なかなかそこまでのレベルに到達している人はいません。

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 岩佐選手は角田選手とはまったく違うタイプのドライバーです。簡単に言えば角田選手は感覚派で、岩佐選手は論理的に詰めていくスタイルです。2026年もSFに参戦する岩佐選手の戦い方が今のF1においてどれぐらい通用するのかは見てみたい。

 私自身、2019年からホンダの育成を担当してヨーロッパのレースを見てきていますし、自分の経験や知見からも、岩佐選手はF1で十分に戦えると感じています。角田選手とともに岩佐選手にもレース出場のチャンスが来ることを期待したいですね。

後編につづく

【プロフィール】
中野信治 なかの・しんじ/1971年、大阪府生まれ。F1、アメリカのカートおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は豊富な経験を生かし、ホンダ・レーシング・スクール鈴鹿(HRS鈴鹿)のエグゼクティブダイレクターとして、国内外で活躍する若手ドライバーの育成を行なう。また、DAZN(ダゾーン)のF1中継や毎週水曜のF1番組『WEDNESDAY F1 TIME』の解説を担当、2025年夏、世界中で大ヒットしたブラッド・ピット主演の映画『F1 / エフワン』の字幕監修も務めた。

著者プロフィール

  • 川原田剛

    川原田剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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