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【F1】メルセデスAMGのジョージ・ラッセルが語る日本人エンジニアとの絆 王座奪還へ「自信はある」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 取材協力:アディダス

ジョージ・ラッセル(中央)とチームメイトのキミ・アントネッリ(左) ©AnnikaYanuraジョージ・ラッセル(中央)とチームメイトのキミ・アントネッリ(左) ©AnnikaYanura

【王座奪還に向けて】

 今年は18歳の大型新人アンドレア・キミ・アントネッリをチームメイトに迎え、ラッセルはメルセデスAMGを牽引していく存在になる。

「ここ数年は本当に厳しいシーズンが続いたし、僕たちが望んでいた成功を収めることはできなかった。今年はそういった数年間をリセットし、モードを切り替えるシーズンだ。それは2025年だけでなく、2026年に向けた再スタートでもある。いいスタートが切れれば、その後のシーズンにも繋がっていく。それをきちんとやり切るために、どのチームにとっても非常に重要な1年になるんだ」

 昨年はチームとして4勝を挙げ、ラスベガスGPでの圧勝をはじめベルギーGPやイギリスGP、カナダGPなど特定のコースやコンディションでは高い競争力を発揮する場面もあった。

 しかし今年はそれではダメだとラッセルは言う。そういう極端に偏ったマシンではなく、オールラウンドに戦えるマシンが必要だ。

「シーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮すること。去年の僕たちのマシンは、うまくハマったときにはものすごく速かったし、ラスベガスやスパ(ベルギーGP)のようにレース週末を通してライバルを圧倒できたレースもあったけど、そういうレースは数えるほどしかなかった。今年は逆に、そういう特定のレースで圧倒的なコンペティティブさを発揮するのではなく、24戦すべてで競争力を発揮できるマシンにしたいと思っているよ」

 2026年のレギュレーション大変革に向けて、2025年は消化試合の1年ではなく、この3年間の失敗をしっかりと総括し、その原因を把握して、改善しなければならない。それが次世代の成功に繋がる。

 前回の大変革のシーズンだった2014年から8連覇を達成したチームであり、現在も桑原エンジニアをはじめ実力者揃いのメルセデスAMGだからこそ、あとはマシンさえ揃えば王座奪還に向けて動き出す準備はできている。

 2025年はその「答え合わせ」のシーズンになる。

「チームの全員がモチベーションに満ちているし、僕も勝つ準備はできている。これまでの数年間はトライ&エラーの日々だったけど、勝つチャンスがあるときにはしっかりと勝ってきた。だから、勝てるマシンさえあれば勝てるという自信があるんだ」

 去年は4勝。ラッセルは今年、大きな飛躍を期待している。

「もちろん今年はそれ以上だ」

【Profile】
ジョージ・ラッセル
1998年2月15日生まれ、イギリス出身。8歳からカート競技を始めるとすぐに頭角を表し、数々のタイトルを獲得する。2014年からフォーミュラ・ルノー2.0へ参戦し、そこから着実にステップアップ。2019年からはF1ウィリアムズに所属した。2022年にメルセデスに移籍。同年の第21戦サンパウロGPで初優勝を飾る。2024年はオーストリアGPとラスベガスGPで優勝した。

著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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