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【F1】2024年の10大ニュース(中編)「角田裕毅を昇格させなかったレッドブルは保守的なチームに成り下がった」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 序盤戦はハースとRB、中盤戦はそこにアルピーヌが加わり、後半戦に入ってしばらくはウイリアムズとハースが中団トップのマシンとなり、終盤戦はアルピーヌが中団トップに加わった。逆に、前半戦に上位チームの一角にいたアストンマーティンは、後半戦は完全に中団グループに飲み込まれた。

 前半戦で中団最上位の5位だったアストンマーティンは、73点を稼いで6位RB(34点)以下に大差をつけた。しかし、後半戦はアルピーヌが54点を稼いで5位となり、アストンマーティンは21点で7位と低迷を余儀なくされた。RBは12点しか稼げず、後半戦は9位。

 こうした勢力図に大きな変化が起きたのは、マシン開発によるものだ。各チームはシーズン中に何度かの大型アップデートを投入し、そのたびに勢力図が変化する。中団グループ全体が0.3秒ほどの差しかないがゆえに、そのアップデートの成否が勢力図を大きく左右するわけだ。

 シーズン序盤はRBがやや先行したが、第10戦スペインGPのアップデート失敗で停滞。その間にハースは着実に開発を進め、後半戦も2度の大型アップデートで常に中団トップの位置につけた。

 また、第15戦オランダGPのみにアップデートを投入したウイリアムズがその直後だけ中団トップに立ったのも、ずっと無得点だったキックザウバーが終盤戦にポイント獲得を果たしたのも、2025年型フロアを投入したからだ。

 開幕時点でマシン開発に失敗して技術体制を完全刷新したアルピーヌは、軽量化が進んだ中盤戦から徐々にパフォーマンスを向上させて、第19戦アメリカGPの大型アップデートで一気に性能を向上させた。第21戦サンパウロGPのダブル表彰台は雨を味方につけた結果だが、それ以外のレースでも中団最上位を走り続けた。

 当然ながら、2025年もこの大接戦は続く。0.1秒のアップデートが大きな差になって現われる「超・戦国時代」になるだろう。

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