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ハースF1新代表・小松礼雄の覚悟 メンツや権力はどうでもよく、マシンの速さを追求する (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【マシンが1000分の1秒でも速ければいい】

 Netflixやメディア対応で歯に衣着せぬ暴言を吐いて注目を浴びるようなことはしないと苦笑いする小松新代表だが、彼自身もストレートな物言いという点ではまったく同じだ。

 ただし、小松の場合はレースパフォーマンスがすべて。自分のメンツや権力などどうでもよくて、マシンが1000分の1秒でも速ければ、そちらを選ぶ。

 チーム全員がそれをできなければ、本物のレーシングチームにはなれないと、小松は考えている。何しろ彼自身が、そうではないオーナーや組織に嫌気が差して2005年からエンジニアとして働いてきたエンストンのチームを離れ、新興のハースに加わった筋金入りのレース屋だ。

「僕は改善にしか目を向けていません。そのためには正しい判断を下す必要がありますし、礼儀正しく、常識的な範囲でストレートな人間であり、そして組織の透明性を保っていたいと思っています。

 僕は政治はやりませんし、そういった面にも目を向けてはいません。自分が正しい意志を持ち、明確なモチベーションを持っていれば、それがチームの全員に伝わって彼らを力づけ、チームを一致団結させることができるのではないかと思っています」

 レースで結果を出すためにマシンを改善すべき時、開発責任者が自分たちの責任を認めたくないから開発を拒絶するという昨年の状況に、小松は忸怩(じくじ)たる思いだったはずだ。

(後編につづく)

◆小松礼雄・後編>>「F1キャリアは20年。最下位のチームをどう立て直す?」


【profile】
小松礼雄(こまつ・あやお)
1976年1月28日生まれ、東京都出身。高校卒業後にイギリスに渡ってラフバラー大学で自動車工学を専攻する。大学院時代にF3チームのメカニックとなり、2003年にタイヤエンジニアとしてB・A・Rに加入。2006年からルノーF1(のちのロータスF1)でレースエンジニアやトラックエンジニアを務め、2016年に創設されたハースへ移籍。レース現場の技術責任者、技術部長を経て2024年よりチーム代表に就任。

著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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