ハースF1新代表・小松礼雄の覚悟 メンツや権力はどうでもよく、マシンの速さを追求する

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

ハースF1小松礼雄チーム新代表インタビュー(前編)

 2024年シーズンの開幕を前に、ハースF1チームの小松礼雄エンジニア(48歳)がチーム代表に就任するという驚きの人事が発表された。

 F1チームの代表というのは、小さいチームでも300人、大きなチームになれば1000人を超えるスタッフを取りまとめ、サーキットでのレース運営だけでなくファクトリーでのマシン開発、ライバルチームやFIA、F1主催者との折衝、スポンサーとの付き合いや外部に向けた宣伝活動など、"チームの顔"としての役割が多岐にわたって求められる。

 最近では『Netflix』のドキュメンタリー番組の影響もあり、コース内外での彼らの役割に注目が集まり、世界的な人気も高まっている。

小松礼雄はハースの組織をどう改革するのか photo by BOOZY小松礼雄はハースの組織をどう改革するのか photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る F1ドライバーは世界で20人しかいないが、F1チーム代表はたったの10人しかなれない、さらに狭き門だ。また、70年を超えるF1の歴史において、日本資本ではないF1チームの代表を日本人が務めるケースは、小松が初ということになる。

 ハースはギュンター・シュタイナーというキャラの濃い代表がいただけに、この突然の代表交代は驚きを持って受け止められた。しかし、昨シーズン中に何度か小松エンジニアから聞いていたマシンの問題点や遅々としてマシン開発が進まない理由を鑑みれば、こうしたチーム改革は当然の帰結だと感じられた。

 一部ではシュタイナーの解任理由がさまざま噂されているが、昨年ハースはランキング最下位に終わっており、端的に言えばオーナーのジーン・ハースがシュタイナーの運営方針に満足せず、小松の提案するチーム改革案に賛同して決断を下したということになる。

「この決定を聞かされた時には驚きましたし、それと同時にありがたいことだとも思いました。僕はこのチームが創設された時からここにいますし、チームのほとんどの人のこと、レベルが高く才能のあるスタッフが大勢いることも知っています。なので僕は、彼らが実力を発揮できる環境とフレームワークを用意したいと思っていますし、そこにワクワクしています」

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