角田裕毅がイギリスGPで気づいたマシンの異変「遅すぎだ...」と静かに語った (3ページ目)
【開発方針は間違っていない】
今回のアップデートについて、角田は語る。
「ダウンフォース量という意味ではそれほど大きな進歩ではないですが、それよりもマシン特性の変更を狙ったものです。マシンの特性が変わって、特に低速コーナーへの進入でのリアのサポート(グリップ感)や高速コーナーでの回頭性など、僕が必要としているものが増しています。
アップグレードに関しては間違いなく効果を感じてはいるんですが、今のところは『そんなに大きくタイムに結びついていないな』というのが正直なところ。今週はかなりいろんなことを試しましたし、まだマシンのことをさらに深く理解するためのプロセスの途上です」
つい数戦前まで角田が入賞をかけて争っていたマクラーレンも、このアルファタウリと同じように低速コーナー性能を向上させる方向のマシンアップデートを進めた結果、大きく躍進を果たした(ランド・ノリス=2位、オスカー・ピアストリ=4位)。
そう考えれば、アルファタウリのマシン開発方針は決して間違ってはいない。問題は、それをきちんと進められるかどうかと、投入したパーツをきちんと使いこなせるかどうかだ。
今回のイギリスGPでは、それ以前の問題で普通に走ることができなかった。実際の問題がどこにあったのかはわからないが、どんな人間でも必ずミスを犯すものなのだから、何が原因だったのかをチーム内で話し合い、ミスやトラブルの発生を未然に防ぐ仕組み作りが必要だ。
マクラーレンが大躍進を果たし、ウイリアムズも入賞圏へと駒を進めているように、今年のF1は中団グループどころか上位までが1秒以内の僅差だ。そのなかで停滞しているアルファタウリは、いつの間にか前のアルファロメオまで0.2秒、そして中団グループまでさらに0.2秒と離されてしまった。
次のハンガリーGPでは、このマシン開発方針に沿ったさらなる改良パーツを投入し、そしてマシンのアップデートとともにチームもアップデートして雪辱を果たしてもらいたい。
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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