角田裕毅がイギリスGPで気づいたマシンの異変「遅すぎだ...」と静かに語った (2ページ目)
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【角田に合わせたマシンに進化】
ただし、問題はそれだけではない。
予選は17位・19位。決勝もサージェントに抜かれたあとは早々にピットインをし、アンダーカットでサージェントを再逆転するかたちにはなったものの、彼よりも15周も走り込んだハードタイヤで最後まで抑え込みながら走り切るのは至難の業だったはずだ。そして、それを果たせたとしても上位勢に自滅がなければ、それは13位争いでしかなかった。
問題は、マシンが圧倒的に遅いことだった。
アルファタウリはこのイギリスGPにアップデートを投入した。完全刷新のフロアはダウンフォースを増やすことに主眼を置くのではなく、ハードブレーキング時の空力変化をマイルドにしてリアの安定性を高めるもので、それによって低速コーナーへのターンインで攻めることができるマシンへと改善するためのものだ。
まさに、エースドライバーである角田が得意とするドライビングに対応したマシンへと進化させようというわけだ。
もちろん低速コーナーが速くなれば、そのぶん脚回りを硬くして、車高を下げることができる。そうすれば高速コーナーでの空力性能が向上するため、より小さなウイングでも同等のダウンフォースが生まれ、結果として空気抵抗を減らしてストレート車速を稼ぐことができるようになる。
それがアルファタウリの新たな空力開発方針であり、シーズン序盤の方針転換からようやくかたちになって投入を迎えたのが、このイギリスGPだった。
シルバーストンは低速から高速まで様々なコーナーがあり、長いストレートもあるから、新パーツの評価には適している。3回のフリー走行と決勝、そして翌週にはテストも控えているから、存分に評価テストができるというわけだ。
チームとしては、今回のアップデートは「想定どおりに機能している」と評価している。角田自身もその効果は感じている。しかし、そもそもシルバーストンではハードブレーキングが2カ所しかなく、今回のアップデートがラップタイムにつながりにくいことも確かだ。
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