「トヨタの秘蔵っ子」がホンダと日産にリベンジ!お膝元の富士スピードウェイで「スープラ」はやっぱり強かった (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

【TOM'Sがミスから学んだこと】

 トヨタの育成ドライバーとして、ジュニアフォーミュラ時代から活躍してきた坪井と宮田。今季はそのふたりがコンビを組むということで、ライバル陣営もかなり警戒している様子だった。

 そして迎えた開幕戦──。予選では後方に沈んでしまうも、決勝では坪井が追い上げてトップに浮上する。その後、ナンバー23のMOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)の逆転を許すが、展開次第では再逆転も十分に狙えるポジションにいた。

 しかし後半、宮田にドライバー交代をしたところで天候が悪化。ウェットタイヤを装着するため、ほぼ全車が同じタイミングでピットインすることになった。その状況に焦りが出たのか、左フロントタイヤの固定が終わる前にジャッキを下ろすミスを犯し、宮田はそのまま発進。すぐさま走行不能となり、リタイアを喫することとなった。

 スーパーフォーミュラもTOM'Sから参戦している宮田は、昨シーズンもピット作業に手間取って表彰台のチャンスを何度か逃していた。カテゴリーは違えども同じような結末が続いたことで、宮田はスーパーGT開幕戦の直後にファクトリーを訪れてミーティングを行なったという。

「スーパーフォーミュラの鈴鹿大会が迫っていたので、僕はすぐに工場に行って『何が問題だったのか?』『何を改善すべきなのか?』など、いろいろ話し合いました」(宮田)

 チームも開幕戦での失敗を問題視し、すぐに対策を立案。スーパーフォーミュラ第3戦・鈴鹿では、特にピット作業の改善に力を入れたという。

 改めてチームとの信頼関係を確認できた宮田は、鈴鹿サーキットで抜群の速さを見せた。レース終盤に来季のF1候補生と目される「驚異の新人」リアム・ローソンを追い抜くと、残り2周でスーパーGTのチームメイトである坪井も抜き去って初優勝を飾った。

 スーパーフォーミュラとスーパーGTの違いはあるものの、TOM'Sのチームスタッフの大半は両カテゴリーを兼務している。鈴鹿(スーパーフォーミュラ第3戦)での勝利が富士(スーパーGT第2戦)の躍進につながったのは間違いない。

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