「ウイングをつけずに走るしかない(笑)」角田裕毅が自虐するほどストレートが遅いアルファタウリに勝算はあるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【波乱は願ったり叶ったり】

 角田は続けてこう語る。

「過去2年間のレースを見ても、ここでは常にいい結果を出してきている。コース特性としても僕らのマシンによく合っていると思いますし、今週末もポイント獲得が可能だと前向きに考えています。ここはいろんなことが起きますし、スプリントレースに加えて新しいスプリント予選フォーマットも導入されるので、さらにドラマが期待できるんじゃないかと思います」

 アゼルバイジャンGPでは、今季初めてスプリントフォーマットが採用される。

 土曜に100kmのスプリントレースが開催されるのは昨年同様だが、今年は決勝のグリッドは金曜予選で決め、スプリントレースとは独立させた。これによって、スプリントでアグレッシブに攻めることを可能にしようというわけだ。

 それに加えて、今年は土曜の朝にスプリントレース用の予選『スプリント・シュートアウト』を開催する。

 従来の予選よりもやや時間が短く、Q1とQ2ではミディアムタイヤ、Q3ではソフトタイヤの使用が義務づけられ、不確定要素がやや多くなりそうな予感もある。

「土曜日はベッドから起きて、朝ごはんを食べたらすぐにスプリント予選なので、目を覚ますためにも間違いなくダブルエスプレッソ(通常のエスプレッソの倍の量)が必要でしょうね(笑)。でも、スプリント予選自体はワクワクしています」

 真っ向勝負ではQ3進出が容易ではないアルファタウリにとって、こうした波乱の要素というのは歓迎すべき点だ。ライバルが波乱に巻き込まれたり、ミスを犯して自滅したりするなかで、自分たちが完璧な仕事をすれば本来の位置よりも上位にいくことができる。その結果としてポイント獲得が果たせれば、願ったり叶ったりだ。

 レース週末としてはフリー走行がたったの1回しかなく、金曜の午後にはもう予選が行なわれ、パルクフェルメ下に入ってセットアップの変更ができなくなる。これも完璧なセットアップができないままレース週末を過ごすことになるチームが出てくる、という波乱要素のひとつだ。

 もちろんそれだけでなく、ドライバーもドライビングのリズムを掴んでいくのが素早くなければならない。たった60分の走行だけで、コンクリートウォールに囲まれた350km/hのサーキットで予選フルアタックに臨まなければならないのだ。

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