角田裕毅は結果を残せるか? 中野信治が3年ぶりのF1日本GPの見どころを解説 (3ページ目)

  • 川原田 剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄、五十嵐和博●撮影 photo by Sakurai Atsuo, Igarashi Kazuhiro

日本GPは角田の得意コース

 それを彼が理解して戦うことができれば、走りだけではなく、言動や態度にもっといいものが出てきて、応援してくれる人がもっともっと増えるはずです。日本人だけでなく、世界の人たちが心から応援したくなるドライバーになれば、それは結果的に自分の強さとなって返ってくると思います。そういうことを角田選手の周りの人がきちんと伝えてあげたらいいのになあ......と僕は思っています。

 そういう意味では、角田選手にとって初めての母国GPは楽しみです。鈴鹿でたくさんの日本のファンに応援してもらえば、彼にとって大きな刺激になると思います。日本GPまでにアルファタウリのマシンにアップデートがあるはずですし、クルマ的には中高速コーナーの多い鈴鹿は合っていると思いますので、いい流れで初めての日本GPに臨んでもらいたいです。

 角田選手にとって鈴鹿は自分自身が育ったサーキットであり、得意だと思います。そこで当然、上位で入賞することを期待していますが、自分が成長したところを見せるという意味では、やっぱり予選からガスリーを圧倒するような走りを見せてほしい。ガスリーもスーパーフォーミュラで走っていた経験があるので鈴鹿はよく知っていると思いますが、ガスリーを上回ることができれば評価が上がるし、日本のファンもそういう走りを期待しています。

 優勝争いはフェラーリとレッドブルの間で間違いなく行なわれると思いますが、レギュレーション変更で大きくなったF1マシンが鈴鹿を走る姿はすごく迫力があると思います。特に1コーナーやS字を駆け抜けるスピードには圧倒されるでしょうね。僕自身、3年ぶりに鈴鹿に帰ってくるF1マシンがどんな走りをするのか、コーナーに行って生で見てみたい。

 中高速コーナーが多い鈴鹿サーキットは、昨年までのマシンは後方に乱気流が発生して接近戦がすごく難しかった。でもグラウンド・エフェクト・カーになり、マシンが接近したバトルが見られるはず。1コーナー、130R、シケインでも近づけるので、オーバーテイクが増えると思います。僕も3年ぶりの鈴鹿を心から楽しみにしています。

終わり

前編「上位チーム戦力分析」>>

中編「新規則マシンを乗りこなす者」>>

【Profile】
中野信治 なかの・のぶはる 
1971年、大阪府生まれ。F1、アメリカのCARTおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は豊富な経験を活かし、SRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)副校長として若手ドライバーの育成を行なっている。また、DAZN(ダゾーン)のF1中継や2021年からスタートしたF1の新番組『WEDNESDAY F1 TIME』の解説を担当している。

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