角田裕毅は結果を残せるか? 中野信治が3年ぶりのF1日本GPの見どころを解説 (2ページ目)

  • 川原田 剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄、五十嵐和博●撮影 photo by Sakurai Atsuo, Igarashi Kazuhiro

角田裕毅に求められる「謙虚さ」

 参戦2年目の角田裕毅選手は、前半戦は入賞3回。ベストリザルトは第4戦エミリア・ロマーニャGPの7位入賞です。新しい車両規則のもとで開発されたアルファタウリのマシンは昨年に比べるとよくありません。開幕直後は中団グループでポイント争いができるポジションにいたのですが、シーズンを経るにつれて、どんどん後方に落ちていってしまった。

 それでも第12戦フランスGPで大規模なアップデートが入り、角田選手は予選では8番手を獲得。本人は「中高速コーナーがよくなった」というコメントをしていましたが、その言葉どおりに中高速コーナーが多いポールリカールでしっかりとタイムを出すことができていました。逆にチームメイトのピエール・ガスリーは中高速コーナーでマシンのよさを活かせなかっただけでなく、アルファタウリが苦手の低速コーナーでもタイムを失い、フランスGPの予選は16番手に終わります。

 フランスGPを始め、今年の角田選手はガスリーと比較しても、遜色ない走りをしています。サーキットによってはガスリーがいくら頑張っても勝てない、というパフォーマンスを見せています。レースウィークの使い方に関しても、昨年に比べると格段にうまくなっています。前半戦には何度かミスはありましたが、まだ参戦2年目ですし、あれだけ激戦の中団グループでバトルをしていれば1〜2回のミスは仕方がありません。走りに関しては、本当に成長していますし、何か変える必要はないと思います。

 それよりは、やっぱり自分の精神状態をできるだけフラットに、あまり波立たないようにすることが角田選手にとって一番大事だと思います。これはもう彼がデビュー当初からずっと言っていますが、謙虚でい続けることがすごく大事だと思います。

 謙虚でいるというのは、別に大人しくしろとか、もっと人前で丁寧に話せ、ということではありません。レーシングドライバーですので、あれくらい激しくていいと僕は思いますし、チームとはどんどん戦うべきです。ただTPOをわきまえないと。無線を通して大声を張り上げるのではなく、みんなが見てないところで激しく自分の意見を闘わせればいいんです。叫ばなくてもチームはわかっていますし、無線で自分のネガティブキャンペーンをしても意味がない。それは自分自身で学ばなければならないと思います。

 F1という場所で、何をしたくて、何を目指しているのか? そこをもう一度、考えれば、自分が今、何をすべきかと自然にわかってくるはずです。F1はヨーロッパのスポーツだから、外国人のようなメンタリティを持たなければ負けるぞと言う人がいるかもしれませんが、彼はもともと、いい意味での図太さは持っています。メンタルの強さはよさではありますが、彼は日本人なのですから、日本人のよさも失ってほしくありません。謙虚であることは武器なんです。

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