2020.09.10

ホンダのモンスターマシンを操った悲運の天才。ダニ・ペドロサの功績

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

MotoGP最速ライダーの軌跡(6) 
ダニ・ペドロサ 下 

世界中のファンを感動と興奮の渦に巻き込んできた二輪ロードレース界。この連載では、MotoGP歴代チャンピオンや印象深い21世紀の名ライダーの足跡を当時のエピソードを交えながら振り返っていく。 6人目は、ダニ・ペドロサ。非凡な才能と誠実なキャラクターでファンを魅了したペドロサの歩みをたどっていく。 

 ダニ・ペドロサがMotoGPへステップアップした2年後、2008年にホルヘ・ロレンソも参戦してきた。ペドロサは1985年9月生まれだが、ロレンソは87年5月、と1年半ほど若い。年齢差の分だけ、ロレンソはいつもペドロサの背中を追うような格好でレースキャリアを歩んできた。 

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2018年、会見で引退を表明したダニ・ペドロサ「スペインの地方選手権時代は、いつもみながダニのことを話題にしていた」と、ロレンソは後年になって少年時代を振り返っている。それだけに、幼い頃からかなり強烈なライバル意識をペドロサに対して抱いていたようだ。

 グランプリの世界では02年と03年に125cc時代をともに過ごしたが、その後ペドロサが04年と05年に250ccクラスを制覇して最高峰へ去ると、06年と07年の250ccクラスはロレンソが連覇した。ロレンソがペドロサを追いかける形でMotoGPへやってきた08年は、二人のライバル関係が頂点に達していた。

 ペドロサは小排気量時代から生粋のホンダ育ち、かたやロレンソはヤマハの次世代を担う選手である。この時の二人は、あらゆる面、すべての要素で対立していたといってもいい。そんな彼らの緊張関係は、ファンの間でも広く知られていた。