ホンダ待望の「スペック3」投入。鈴鹿に向けてロシアGPはどう走る? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 つまり、ターボ過給が低下し、MGU-H発電量も下がる。そのバランスも取らなければならない。ルノーがスペックCで苦労しているのは、そういうところだ。

 ホンダもスペック3の走行初日となる金曜フリー走行では、各コンポーネントのキャリブレーション(測定)を行ない、セッティングを煮詰めていかなければならない。どこでどれだけ発電し、どこでどれだけ放電してパワーに変えるか......というエネルギーマネジメントの再調整も必要になる。ファクトリーでのベンチテストと実走状態の違いを把握し、設計上の理論値まで限りなく近づけていく作業が必要だ。

 その一方で、マシン側もスペック3のパワーを受け止める準備ができていなければならない。

 コーナーの立ち上がりでトラクションが悪かったり、マシンの挙動が不安定だと、いくらパワーがあってもドライバーはスロットルペダルを踏めず、そのパワーを使うことができない。パワーアップがそのままラップタイムにつながらないことがよくあるのは、そういうことだ。

 前戦のシンガポールGPでは、得意と期待した市街地サーキットで惨敗を喫した。

 週末を終えた段階では、「セットアップ以前にマシンに根本的な問題がある」「マシンパッケージの改良が進んでいないことで、相対的な競争力が乏しくなってしまっているのではないか」と語られていた。だが、その後のデータ分析で、セットアップの方向性に問題があったことがわかったという。

「金曜はグリップ不足でアンダーステアにかなり苦しんだけど、それに対する対処が間違っていたという結論に至った。路面コンディションが少し変わったこともあって、僕らのセットアップ変更はオーバーリアクションだったんだ。また、セットアップだけでなく、タイヤも温度や内圧などがセンシティブでうまく使いこなすことができなかったので、方向性を間違えてしまった。

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