決勝でも予選モード。ダブル入賞を生んだホンダ「攻めの秘策」 (4ページ目)
「レースの大半で燃料セーブをしなければならなかったけど、ある時点でちょっと目を覚まそうとクイックラップをやったんだ(笑)。それで全体で5位のタイムを記録できたんだから、ポテンシャルがあるのは証明できたね」(アロンソ)
スタート直後の混乱を避けるために後退してしまったバトンも、最後にトロロッソをコース上で抜き去り、10位でフィニッシュ。そこにも予選モードの威力が遺憾なく発揮されたと、長谷川総責任者は指摘する。
「1周で0.2秒なら、50周のレース全体で10秒早くフィニッシュできることになります。その10秒で何も変わらない場合もありますが、ポジションがひとつ上がるという場合もあります。ジェンソンは最後にカルロス・サインツ(トロロッソ)を抜きましたが、もし予選モードを使っていなければ、あそこまで追い詰めることができなかったかもしれない。クルマのパフォーマンスとしては、ジェンソンも7位でフィニッシュできてもおかしくない速さがありました」
全開率が高く、スロットルを開けている時間でいえば71%にも達するソチ・アウトドロームでは、規定の100kgの燃料でレース距離309.745kmを走り切るのは至難の業だった。そのためドライバーたちには、ストレートエンドでスロットルを戻す"リフト&コースト(※)"を強いることになってしまったが、マシンパッケージそのものの仕上がりは「トップから1周遅れ」という結果以上のものだった。
※リフト&コースト=アクセルをオフにして、惰性でクルマを走らせること。
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