決勝でも予選モード。ダブル入賞を生んだホンダ「攻めの秘策」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ロシアGPのスターティンググリッドにつく2台のマシンを、ホンダ陣営は特別な気持ちで見守っていた。フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンのパワーユニットを制御するCE(コントロール・エレクトロニクス)のセッティングが、エンジンに高い負荷が掛かる"予選モード"のままになっていたからだ。

フェルナンド・アロンソは見事な走りで6位フィニッシュフェルナンド・アロンソは見事な走りで6位フィニッシュ「このソチ・アウトドロームでいえば、予選モードにすると、0.2秒ほど速く走ることができます。しかし、ICE(内燃機関エンジン)には、通常のレースモードよりも高い負荷が掛かってしまいます。ですからこれまでは、『何周なら使っていいよ』というかたちでドライバーに使わせていました」

 長谷川祐介F1総責任者はそう説明する。

『MP4-31』のステアリングホイールには、"レッドボタン"と呼ばれるボタンがある。

 順位を上げるためにプッシュしたいというときや、バトルのなかで競っているときにドライバーがそれを押すと、ICEの点火時期を早めてパワーを絞り出す予選モードに切り替わる仕組みだ。

 しかし、ロシアGPでは最初から予選モードがオンになっていた。いつもとは逆に、レッドボタンは予選モードを解除するボタンになったのだ。

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