【F1】2016年シーズン分析。フェラーリの王座奪還はあるのか? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 フェラーリもPUをさらに進化させてくるはずで、ザウバーとハースはその恩恵を受けることになる。メルセデスAMGとフェラーリのPU性能差が縮まることは、ウイリアムズやフォースインディア、ザウバーやハースといった、中団に位置するそれぞれのカスタマーチーム格差が縮まることも意味するのだ。

 また、型落ちマシンで低迷していたマノーも浮上が予想され、2年目のマクラーレン・ホンダもいよいよ上位を視野に入れてくるだろう。昨年の最終戦・アブダビGPでも、すでに中団は予選Q1で1秒以内に14台がひしめく激戦になっていたが、2016年はそこへさらに2チーム4台が加わって、よりいっそう激しい争いになる。そうなれば、グランプリごとにガラリと順位が入れ替わる、予測不可能な展開も十分にあり得るだろう。

(4)ルノーワークスが復活し、レッドブルは孤立する?

 ルノーが財政難のロータスを買収し、ワークスチームとしてF1に復活する。母体は、かつてルノーとして2005年・2006年、ベネトンとして1994年・1995年に王座を獲得したイギリス・エンストンを本拠地とするチームだけに、リソースさえ適切に与えられれば、彼らは高い戦闘力を発揮してくる。事実、あれだけ財政難に苦しみ、参戦することすらままならないような状況のなかでも、昨年のロータスは表彰台すら獲得して78ポイントを積み重ね、ランキング6位に入ってみせた。

 カルロス・ゴーンCEOは、「まずは基盤を立て直す。成功を収めるまでには3年かかる」と語るが、1977年の初参戦から1985年までと、2002年~2011年のワークスチーム参戦以外でもエンジン供給者(1987~1988年のみ活動休止)として何らかの形でF1に関わり続けてきたルノーだけに、成功までの道筋は現実的に見定めている。

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