【F1】2016年シーズン分析。フェラーリの王座奪還はあるのか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 昨シーズン後半は、メルセデスAMG本家だけが2016年型を視野に入れ、実験的改良を加えた新型PUを使用した。車体面でも金曜フリー走行で実験的なパーツを次々と試すなど、圧勝しているからこそ未来に目を向ける余裕も十分にあった。その点でも、彼らはライバルの一歩先を行っていたことになる。技術レギュレーションが大きく変わらない2016年は、「メルセデスAMGの牙城が揺らぐ」とは考えにくいと言わざるを得ないだろう。

(2)復活したフェラーリの王座奪還は成るのか?

 2014年、フェラーリは1993年以来の未勝利に終わる大失態を演じたが、昨年は3勝を挙げて復活を遂げた。その背景にあったのは、2014年末にチーム代表に就任したマウリツィオ・アリバベーネによる組織改革だった。

「マラネロといえば政治」と言われるほど、歴史的に内部抗争の激しいフェラーリだが、ここ数年はF1界のトレンドに倣(なら)う形で空力部門が大きな発言力を持ち、結果、その他が軽視される傾向となって多くの部門が士気を失いかけていた。

 しかし、アリバベーネは組織を再編し、PU性能の向上に主眼を置くとともに、全部門が一体となって開発にあたることを徹底させた。さらに、自身が責任を請け負うことで、多くの部門が自由にチャレンジできる雰囲気をもたらした。

「私が初めてこのチームにやって来たとき、『非常に分裂したチームだな』と感じた。各部門を見て回ると、そのほとんどが自己保身的で、私は『こんなのチームじゃない』と心のなかで思ったんだ。私にとっての最初の仕事は、彼らをもう一度、結束させることだった」

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