【F1】2016年シーズン分析。フェラーリの王座奪還はあるのか? (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 一方、昨年の舌戦を経てルノーとの関係が悪化したレッドブルは、それまでのワークス待遇は失われ、カスタマーチームへと格下げになった。PU探しの過程で撤退をちらつかせ、強引な姿勢を見せたことで他メーカーからも冷たい態度を取られており、F1界からやや孤立しつつあるのが気にかかる。彼らはレースを戦いながら、同時にチームの未来をも考えていかなければならない。

(5)財政難チーム続出。F1の魅力が失われる?

 ここ数年、いくつかのF1チームの財政事情は日増しに悪化している。HRT、ケータハム、マルシア、そして昨年はロータスがチーム消滅の危機に瀕(ひん)した。参戦を続けてはいるが、ザウバーやフォースインディアなども、楽な状況ではない。

 小チームでも年間100億円近い予算を使っていながら、目先のパーツ代や宿泊費に困窮するというのも不思議な話だが、財政をさらに悪化させた大きな要因は、2014年から導入されたPUであることは間違いない。

 F1にPUを供給する4メーカーは、それぞれ供給費として約30億円前後の代金を設定している。コスト削減のために「年間4基・開発凍結」というルールが設けられているものの、複雑すぎるPUの製造には莫大なコストがかかるうえ、そこに至るまでの研究開発や設備投資にはさらに巨額の費用がかかっている。PUの運用に専属のスタッフが帯同することも欠かせず、そのための機材も必要になる。

「こうしたコストをすべて含めて試算すれば、供給代金はとてつもない額になってしまう。(年間30億円程度では)とてもじゃないが、ビジネスとして成り立つものではない」(ホンダ・新井康久F1総責任者)

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る