2014.09.18

【F1】世界が認める日本人エンジニア。小松礼雄の思考方法

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「僕の声が恐い? よく言われますけど、上の人間からはもっと締め上げろって言われていますよ(苦笑)。そもそも、レース中にうれしそうにしていたらおかしいでしょ?」

 ロマン・グロージャンとコンビを組んで3年目、ロータスのレースエンジニア小松礼雄(あやお)は、8号車に携わるすべてのエンジニアやメカニックたちを束ねる立場にある。レース中に無線でドライバーと交信し、指示をして好走に誘(いざな)うのも小松の役割だ。

ロータスでグロージャン(右)のレースエンジニアとしてチームを束ねている小松 世界中に配信されるテレビ中継の国際映像で、小松の無線音声が度々流れる。感情的に喚くグロージャンと、冷静に諭す小松。グロージャンをここまで成長させた「アヤオ・コマツ」の存在は、すでに世界中のF1ファンの間で認知されている。

「人の長所と短所をうまく見極めること。その人に何ができて何ができないのかをきちんと把握することですね。それから、いかにやる気を出させるか。誰からどんな能力を引き出すかという、スタッフのコーディネーションも必要です」

 イギリス人を中心とした多国籍混合チームを束ねている小松は、事も無げにそう言う。

 グロージャンとともに何度もトップ争いを繰り広げた2013年は、小松にとってレースエンジニアとして大きく成長した1年だった。それまでは目の前のレースを戦うことに自分のキャパシティの大半を費やさなければならなかったが、今は「キャパの60%で戦えるようになった」(小松)ことで、周囲に目を配る余裕が生まれた。それがチームを束ねるリーダーとしての統率力を高めることにつながったのだ。

「人間としては成長してないですよ、気が長くなるわけでもないし、人に優しくなるわけでもないし(笑)。でもね、なるべく褒めて育てようと思ってるんです。僕は元々が厳しい人間だから、そのくらい意識しておかないと恐ろしく厳しくなっちゃう(笑)。僕だったら何か言われたら『なにくそ!』と思ってやる気を出すけど、みんなが自分と同じ性格じゃないですからね」