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【F1】世界が認める日本人エンジニア。小松礼雄の思考方法 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 大変革の2014年シーズン、ロータスは大きな飛躍が期待されていた。しかし、チームは大きくつまずき、低迷を強いられている。従来とは異なるさまざまな要素を秘めた真新しいパワーユニットと車体、その熟成は遅々として進んでいない。

「冬に走れなかったせいで、僕らは3月の開幕戦に向かう時点で何も分かっていなかったんです。予選シミュレーションも、レースシミュレーションもしていないような状態で開幕を迎えた。それで、シーズンが始まってからようやく問題点が分かりはじめてきたんです。その遅れが痛かった」

 そう言って小松は苦笑いをする。

今季のロータスは苦しい戦いが続き、中位以下に沈んでいる今季のロータスは苦しい戦いが続き、中位以下に沈んでいる いや、苦笑いするしかないのだ。はっきり言って、今のロータスの状況は極めて深刻だ。クルマのどこが悪いのかは把握できている。しかし、それをどうすれば直せるのかが究明できない。究明するための人材と資金がないからだ。そんな状況で、レース現場の小松たちにできることには限界がある。

「今年のクルマの素性のどこが悪いのかということは、データを見て分かっているんです。でも、すごく優秀なエンジニアたちが何人もいなくなっちゃいましたからね。その人たちはメルセデスAMGやフェラーリ、ウイリアムズの空力部門責任者になっているんです」

 チームを所有する投資グループは十分な資金を投入しておらず、ほぼ現状のままのクルマで転戦するだけで精一杯の予算しかない。

「彼ら(チームオーナー)の問題は、去年ウチが上位で健闘していたのは『自分たちのおかげだ』と思ってることなんです。去年はそれ以前の積み重ねがあったから上位まで行けただけで、本当はあの予算であの成績というほうがおかしいんです。でも彼らは、あの予算であの結果が出せるのが当たり前だと思ってしまった。だから今年になって『なんでこの予算で結果が出せないんだ』ということになっている。僕は上の人たちに対して文句を言っているんですけどね」

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