【F1】イタリアGP好走も、可夢偉は3人目の補欠? (4ページ目)
しかし、今後のドライバー選定は能力だけで決まるわけではない。むしろ、チームの財政事情と経営陣の思惑に大きく左右されることになる。
「僕は3人目の補欠ってことでしょ?」
モンツァにやってきた可夢偉は、自嘲気味に言った。
ケータハムのエンジニアやメカニックの心境はいざ知らず、今のチーム経営者たちにとってはそれが厳然たる事実なのだから仕方ない。
しかし、イタリアGPで可夢偉はその力と存在を見せつけた。コンストラクターズランキングを上げるためにレースをするのか、チームとして小銭稼ぎをするためにビジネスをするのか。それはチーム経営陣に対する最大のアピールになり、ドライバー選定に対する問い掛けになったはずだ。
可夢偉が次のシンガポールGPに出場できるかどうか、それはまだ決まっていない。
「僕は出ろって言われれば出るだけです。サーキットが違えばクルマが良くなってるかどうかっていうのは興味ありますけどね。自分がずっと前半戦にやってきた開発で、おカネがないからって全然できなかったのが、ようやく開発できたらパフォーマンスが上がったというのがモンツァでは証明できたわけですからね。まぁ、このチームがそれをどこまで真剣に考えているかですよね……」
その問い掛けに対して、次はケータハムのチーム経営陣が答えを出す番だ。
モンツァのレースを終えて、可夢偉はふと呟いた。
「レースがしたいなっていう気持ちになりましたね。下位チームで争うんじゃなくて、ポイントを争う戦いとか、そういうレースがしたくなった」
その言葉が、モンツァの週末が可夢偉にとっていかに充実したものであったかを物語っていた。
シンガポールGP、そして鈴鹿での日本GPで、可夢偉が走る姿を見られることを祈りたい。
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