【F1】イタリアGP好走も、可夢偉は3人目の補欠? (2ページ目)
さらには、与えられたタイヤはミディアムとハードのそれぞれ1セットずつしかない。きちんとデータを収集するためには、ミスをしてタイヤを潰すわけにもいかない。まずは最大限にプッシュして限界点を確かめてから徐々に抑えていくという、可夢偉本来のスタイルとは真逆の走りが要求される。
「今までのクルマとちょっとずつ比べながら走って行ったんですけど、タイヤも1セットしかないからブレーキで行き過ぎてロックさせてフラットスポットを作っちゃうと終わりなんで、下から(抑えめに走りながら)ちょっとずつ限界を確かめていくしかなくて。それもあって多少時間がかかりましたね」
そんな状況で、経験あるドライバーとしてさまざまなことを思案しつつ、可夢偉はチームのために90分間の走行を最大限に生かしたと言っていいだろう。新人2人のコンビでは、ここまでの組み立てはできなかったはずだ。
「レースペースは思ったほど悪くないんで、うまくやれば(他チームと)戦えると思いますね。なので、明日の残り1時間(FP-3)でうまくクルマを仕上げたいなと思います」
金曜日の走行でロングランペースの仕上がりに自信を持った可夢偉は、次は予選一発の速さを引き出す作業に取りかかった。タイヤへの優しさを残しつつ、最初のピーク性能も引き上げようというわけだ。金曜の夜に導き出したセットアップの変更点を土曜午前のFP-3で最終確認し、いよいよ予選へと臨んだ。
Q1最後のタイムアタックで2台のケータハム勢が前後に連なって走り、可夢偉はマルシア勢を上回る19番手のタイムを記録した。
イタリアGPでライバルチームを上回る走りを見せた小林可夢偉「メガラップ!」
チーム代表のクリスチャン・アルバースも、可夢偉の働きに興奮の様子だった。
実はこれも可夢偉が機転を利かせたがゆえの結果だった。前を走るチームメイト、マーカス・エリクソンの背後に付いて空気抵抗を減らそうと試みていたのだ。
「引っ張ってもらったわけじゃないんですけど、僕が勝手についていったったんです。このくらいの距離やろなって。ただアイツ失敗しやがったんですよ、レズモ(ターン5)の2個目で。それで砂を撒くし、最終コーナーで思いのほか近付きすぎたし、あれがなかったらもっと効果的やったんですけどね」
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