【F1】シート喪失。可夢偉は日本GPで走ることができるか? (2ページ目)
8カ月前の昨年末、可夢偉は初めてケータハムのファクトリーを訪れ、シミュレーターに乗り込んでシート争いのライバルだったヘイキ・コバライネンより1秒も速いタイムを記録。一気にチームスタッフの気持ちをつかんだ。しかし、今度は、可夢偉の知らないところでそのシミュレーターにロッテラーが乗ってベルギーGP出場に向けた準備を行なっていたことは、なんとも皮肉だった。
可夢偉は当初の予定どおり水曜の午後にイギリスからパリに飛んで陸路でスパに入り、金曜の午後まで待機していた。しかしロッテラーが無事にフリー走行を終えるとメディアの前に姿を見せることなくスパを後にし、友人であるレーシングドライバーの吉本大樹がいるニュルブルクリンク(ドイツ)を表敬訪問して週末を過ごした。
「水曜日の夜にはコースから5分のスパのホテルに来ていました。なにがあるかわからないので金曜日のフリー走行が終わるまではスタンバイしていました。僕自身は常にレースをするつもりで、準備をしています」(可夢偉)
コレスは今回のドライバー交代劇について、持ち込み資金の問題ではないと断言した。ロッテラーが2歳の時からスパに近いベルギー国内で育ち、このサーキットを熟知しているからこその起用だと説明した。
「問題はカネではない。チームには経営上の問題は何もないし、カネを必要としているわけではない。アンドレも資金を持ち込んでいるわけではないよ。そんな報道もあるが、それは間違いだ。今回が非常に特殊な状況だったということだ。スパという特殊なサーキットで、ここは天候も特殊だ。彼はベルギーが地元でスパを知り尽くしているスペシャリストだし、私は彼が世界でベスト5に入るドライバーのひとりだと確信しているからね。私は結果を残すためにベストな選択をしたまでのことだ」
しかし3週間前から、日本国内でレースをする外国人ドライバーの数人にも同様のオファーがあり、25万ユーロ(約3400万円)程度の持ち込み資金が提示されていると一部で噂になっていた。さらには、ベルギーGP以降のケータハムのシートはすべて売りに出ているとの噂もあった。
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