可夢偉の前半戦を総括。「10戦で2年分の経験をした気分」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「僕を切ったところで何も変わらないですからね。それをやるんやったら、(性能向上を狙う必要もなくて)アップデートもしなくていいじゃん、っていうことでしょ? F1をスポーツとしてやるんじゃなくて、ビジネスとしてやってるということになる。それで僕がいられなくなるんやったら、チームとしてそこまでやったっていうことやし、僕としては何の未練もないですよ」

 事実、チームは育成ドライバーのラインナップを入れ替えはしたが、フリー走行の枠も含めてレギュラードライバーの陣容に変化は一切ない。

 一方、2週間前に新たな経営陣がチームの指揮を採るようになってからリーフィールドのファクトリーでは新パーツ開発が再開され、3週間の夏休みを挟んでシーズン後半戦にはその新パーツを間に合わせるべく全力で開発にあたっている。そして2015年型マシンの開発もスタートした。

 新経営陣は目の前のレースを生き抜くことだけでなく、未来も考えているのだ。

「(経営が変わって)ポジティブな方向に行くと思います。これまでは開発を止められていたような状態で、何にもできなかったわけやからね。新パーツのリストを見ると結構いろんなものがあったんで、データを現物にするのにも時間はかかるでしょう。でも、さすがに鈴鹿(日本GP)以降じゃ遅すぎるから、夏休み明けから日本GPまでの間に入ってくるんじゃないですかね」

 それまでは手持ちのマシンで耐えるしかない。シーズン前半戦の締めくくりとなるドイツGPとハンガリーGPの連戦は、ケータハムにとってはある意味消化レースのようなものでしかなかった。

 可夢偉はドイツGPが前半戦のベストレースだったという。

 戦略面でやれるだけのことはやり切り、持てる力は出し切った。それでもマルシアには敵わず、予選20位、決勝16位完走。それがベストだというところに、ここ数戦の可夢偉がいかに苦しい戦いを強いられてきたかが表れていた。

「予選のパフォーマンスどおりのレースでした。もっとタイヤがガーンとタレてくれれば面白い展開になったかもしれないけど、ソフトでも20周以上保ってましたからね。なんにも面白くないし、ジャーナリストの人だって書くこともないでしょ?(苦笑)」

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