可夢偉の前半戦を総括。「10戦で2年分の経験をした気分」 (3ページ目)
ハンガリーGP(7月27日決勝)でも硬すぎるタイヤに苦労させられた。
ミディアムタイヤが使い物にならず、ソフトタイヤよりも1周で2秒も3秒も遅い。
「このタイヤもう捨てといて!(笑)」
可夢偉は冗談交じりにピレリのエンジニアにそう言ったくらいだ。
後半戦に向けて、ケータハムは止まっていた開発を再開した「彼も硬すぎるのは分かってるらしいんですけど、現場スタッフと持ち込むスペックを決める人の思惑が違うんでしょうね。『事件は現場で起きてるんだ!』ってやつ。ピレリ本社の人間に『踊る大捜査線』を見せてやってくださいよ(笑)。この状況はほんまに“事件”ですよ」
決勝はスタート直前の豪雨でウエットコンディション。
無謀なリスクは冒さずにスタートし、セーフティカーの恩恵も受けながらマルシア勢を抑えていたが、25周目に燃料ポンプが壊れてエンジンがストップし、クルマを止めなければならなかった。
「完走できていても入賞のチャンスはなかったでしょうね。セーフティカーが5回くらい出たらチャンスもあったかもしれへんけどね(苦笑)」
こうして2014年シーズン前半戦は終わり、F1は3週間の夏休みに入った。ファクトリーも紳士協定により2週間に渡って完全にシャットダウンされる。
1年ぶりにF1に戻ってきた可夢偉は、激動の前半戦だったと感慨深げに語る。
「まだライバルと戦う以前の段階で何もできてないんですけど、なんかもうこの10戦で2年分くらいの経験をした気分です。ひとまず休ませてください(苦笑)」
とは言いながらも、すでに日本GP(10月5日決勝)で日本へ戻る2週間分の予定はギッシリと詰まっており、「残りもこれからどんどん予定が入っていくでしょうね」と可夢偉は苦笑いする。
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