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安田記念で有力視されている香港馬2頭は、本当に勝ち負けを演じるほど強いのか (2ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu

 確かに、過去に安田記念を勝った香港馬を見ても、2006年の勝ち馬ブリッシュラックは2000m戦で何度も勝ち負けを演じていた。

 それに、ロマンチックウォリアー自身、今でこそ2000m前後のレースを主戦場としているが、デビューから3戦は1200m戦。4戦目も1400m戦だった。しかも、それらレースをいずれも強い内容で勝っているのだ。

 それゆえ、そのデビュー4連勝で手綱を取っていたジョアン・モレイラ騎手も、こう言って太鼓判を押す。

「(ロマンチックウォリアーは)スプリンターとしても、申し分のない能力の持ち主だと思いましたよ。だから、安田記念への参戦は間違いなくいいチョイスだと思う」

 さらに、同騎手はこう続けた。

「(自分が今回騎乗する)ソウルラッシュ(牡6歳)もいい馬だけど、正直、ロマンチックウォリアーを負かすのは、簡単なことではないと思っている」

 実際、来日後のロマンチックウォリアーの状態は申し分なく、臨戦態勢は整っているようだ。それは、シャム調教師の言葉からも伝わってくる。

「以前は日本に着いたら、まずは競馬学校で数日過ごして、そこから東京競馬場へ移動。馬への負担が大きかった。それが今は、東京競馬場に直接入厩できるようになったので、思いどおりの調整ができている。(周囲の期待に)応えられる状態にはあるので、いい結果を出さないといけないと思っている」

 今年に入って、消化したレースはわずか2戦。過去、安田記念に参戦してきた香港馬にありがちな、シーズン末期の"出涸らし状態"とは一線を画すロマンチックウォリアー。むしろ、ここを狙いすましてきた感があり、戴冠を遂げる可能性は大いにある。

 一方、ヴォイッジバブルはどうか。

 表記は6歳だが、オーストラリア産のため、実質的には現在5歳後半にあたる同馬。これまでに獲得したGIタイトルはひとつ。それも、香港マイル王のゴールデンシックスティ不在の香港スチュワーズC(1月21日/シャティン・芝1600m)での勝利ゆえ、一枚落ちの存在に見えるかもしれない。

 しかし、4歳時の香港のクラシック(香港のクラシックは3歳ではなく4歳時)三冠では、香港クラシックマイル(シャティン・芝1600m)と香港ダービー(シャティン・芝2000m)を制覇。香港調教馬のみで争われるために国際格付けはないが、クラシック二冠馬と思えば、相当な器だ。

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