400万馬券再び!? 傾向なきエプソムCは「逃げ」「差し」両構えで高配当狙いが吉

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamistu

 春のGIシリーズが一段落し、今週からは北海道シリーズも開幕する。まもなく本格的に夏競馬へ突入といったなか、東京競馬場ではGIIIエプソムC(6月9日/東京・芝1800m)が行なわれる。

 例年、秋の大舞台での飛躍を目指す明け4歳馬たちと、春のGIではやや力が足りない古豪が集う一戦。過去10年の結果を振り返ると、1番人気はわずか2勝と波乱含みのレースと言える。

 実際、2015年を除いて3連単の配当はすべて万馬券。2020年には400万円超えの超高額配当が飛び出している。そうした傾向となる一因として、スポーツ報知の坂本達洋記者は「予想を難解にするファクターがある」と言う。

「長い春の東京開催が後半に差しかかる時期のレース。コース設定も、Cコースに替わって3週目に行なわれますが、ひと口に『差し有利』『先行有利』と言えない傾向にある点が予想を難しくしています。

 事実、昨年もジャスティンカフェが大外から豪快に追い込んで勝ちましたが、2着のルージュエヴァイユ、3着のマテンロウスカイは好位2、3番手で運んで粘った形での決着でした。ザダルが勝利した2021年は、上位3頭がそろって差し馬とわかりやすい傾向になりましたが、2015年に勝ったエイシンヒカリをはじめ、逃げ馬が馬券圏内に残ることも何度となくあります。

 要は、梅雨の時期に入って道悪になりやすく、馬場状態は常に一定ではありません。そうした馬場の違いによって、年ごとにレースの傾向が異なるので、レース予想が難解となり、"荒れる"要因となっているのでしょう。

 過去5年を振り返っても、良馬場で行なわれたのは2021年のみ。馬場が渋るとどうしてもキレ味がそがれますから、前が残りやすくなるのも当然かもしれません。

 はたして、今年はどうか。今年は梅雨入りが遅れているようですが、週末の天気は微妙。予想においては、レース直前まで馬場傾向とにらめっこすることになりそうです」

 ともあれ、坂本記者が事前に目を向けるのは「基本的には、差し馬」だそうだ。

「先週日曜日の馬場は終日、芝コースはやや重でした。それでも、平場のレースを含めて、全体的に上がりが速い傾向にありました。そうなると、天気がどうなるかはともかく、現状では決め手のあるタイプに注目したいところです」

 そうして、坂本記者は激走候補2頭の名前を挙げた。1頭目は、前走のGIヴィクトリアマイル(5月12日/東京・芝1600m)で5着と好走したルージュリナージュ(牝5歳)だ。

「昨秋にオープン入り。重賞勝ちこそないものの、ここ一番で見せる鋭い決め手は、ここでは上位レベルにあると考えています。実際、差し決着だった前走のヴィクトリアマイルでは、メンバー最速の上がり33秒6をマーク。勝ち馬にコンマ4秒差の5着まで追い上げた脚には目を見張るものがありました。

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