ローズSは「特注血統」から2頭をピックアップ 直近2レースを圧勝の3歳牝馬、牝系が優秀な3歳牡馬に期待 (2ページ目)
ガリレオの父サドラーズウェルズも、英愛リーディングサイアーに何度も輝いた大種牡馬だが、ローズSと非常に相性がいい。ガリレオは2018年の勝ち馬カンタービレの母の父で、サドラーズウェルズは2015年の勝ち馬タッチングスピーチの母の父。2頭の父はいずれもディープインパクトなので、コンクシェルは似た血統構成となる。
さらに、2016年の勝ち馬シンハライトの母の父シングピールもサドラーズウェルズ系で、2020年3着のオーマイダーリン(父ディープインパクト)、2020年2着のムジカ(母の父ディープインパクト)、2021年3着のアールドヴィーヴル(母の父ディープインパクト)も母系にサドラーズウェルズを持っていた。ディープインパクトとサドラーズウェルズは、ローズSの特注血統と言っていいだろう。
コンクシェルは実力も折り紙つきだ。昨年7月の新馬戦(小倉・芝1800m)を勝ったあとは3連敗を喫したが、3月のアネモネSでは13番人気ながら2着と激走。そしてこの夏は鞍ケ池特別(1勝クラス、中京・芝1600m)、不知火特別(2勝クラス、小倉・芝1800m)をいずれも5馬身差で圧勝と、かなり力をつけてここに臨んできた。前走は2勝クラスとはいえ、牡馬相手に逃げ切って5馬身差の圧勝は評価していい。
一昨年、12番人気で2着と逃げ粘ったエイシンヒテンも、夏は牡馬相手の2勝クラスで揉まれてきての参戦(ローズSの前走で4着)で激走していた。牡馬を含めた古馬とのレースはいい経験になるだけに、コンクシェルの成長にも期待だ。
もう1頭はアンリーロード(牝3歳、栗東・茶木太樹厩舎)を推す。本馬の父リアルスティールはGⅠドバイターフの勝ち馬で、その父はディープインパクト。前述のようにこのレースと相性がいい父系だ。
同馬は牝系が優秀で、いとこに豪GⅠ2勝のトーセンスターダム(父ディープインパクト)、おじにGⅠ天皇賞・秋のトーセンジョーダン、さらに近親には天皇賞・秋などGⅠ2勝のカンパニーや、今年のダービー馬タスティエーラが出ている名門の牝系だ。同牝系の馬が連鎖的に活躍するのはよくあるケースであり、タスティエーラの勢いに乗りたいところ。出走は5月のカーネーションC以来で約4カ月ぶりとなるが、そのレースを含めて芝1800mは2戦2勝と得意にしている距離でもある。
以上、今年のローズSはキズナ産駒コンクシェル、リアルスティール産駒アンリーロードの、ディープインパクト系2頭に期待する。
著者プロフィール
平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide
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