「大混戦の牡馬クラシック」皐月賞に大挙してやってくる関西勢で「色気」を持っている陣営はどこだ (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 ファントムシーフがそれだけ高く評価される点について、関西の競馬専門紙記者が解説する。

「デビュー前から、稽古の動きが衝撃的なほどよかった。これまでの4戦のうち、先日ジョッキーを引退した福永祐一調教師が2回乗っていますが、実はその福永師がこの馬にぞっこんだったようです。デビュー戦を勝ったあと、距離を延ばすように進言したのも同師です。

 つまり、それくらい早い段階からクラシックを意識していた、ということ。もし、福永師がまだ現役ジョッキーであれば、今年は間違いなくこの馬に乗っていたでしょう」

 無論、ファントムシーフを管理する西村真幸厩舎も強気な構えだ。そのことは、この馬の戦歴にも表れている。

 デビュー戦でマイルのレースを使ったあとは、すかさずクラシックを意識して2000m戦を2度使っている。さらにその後は、距離を短縮してまでも共同通信杯に参戦した。先述の専門紙記者によれば、ここにもクラシックを見越した陣営の意図があるという。

「その意図をひと言で言えば、東京競馬場を経験させたかったからです。そこを逃すと、クラシック前には東京を経験させる機会がない。それゆえ、距離短縮には目をつむって共同通信杯を使った。それだけ強く、日本ダービー(東京・芝2400m)を意識している、ということです。

 皐月賞はもちろんのこと、陣営はそれぐらいこの馬を高く評価。その能力に大きな自信を持っていることは明らかです」

 他にも、関西には注目馬がズラリ。「勝算あり」と見ている強気な陣営が少なくないという。

 たとえば、GIIIきさらぎ賞(2月5日/中京・芝2000m)を快勝し、皐月賞本番の鞍上に名手ダミアン・レーン騎手を得て意気上がるフリームファクシ(牡3歳)陣営。GIIIスプリングS(3月19日/中山・芝1800m)を無傷の3連勝で制し、「今期最大のダークホース」と言われるベラジオオペラ(牡3歳)陣営。さらには、川田将雅騎手が数あるお手馬のなかから最終的に選んだダノンタッチダウン(牡3歳)陣営などがそうだ。

 いずれも、それだけ強気になるだけの根拠はある。馬本来の実力はもちろんのこと、本番を前にしてプラスアルファが存分に見込める。なかには、「クラシック制覇が見えてきた」とはっきりと口にする陣営もあるそうだ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る