高松宮記念は「人気ほどの実力差はない」各ジョッキーが一発を目論むなかで浮上する穴馬候補

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku
  • photo by Kyodo News

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――今週から春のGIシリーズがスタートします。そのGIレースの検討に際して、何かしら大西さんがポイントに考えていることはありますか。

大西直宏(以下、大西)とりわけ古馬については、近年最上位層の馬たちは国内のGIではなく、海外GIを目指すのが主流になっています。そうした傾向から、国内のGIレースでは確たる軸馬が不在となり、どのレースも混戦度が増しています。

 そして、能力が拮抗した一戦になると、枠順や馬場バイアスが結果に与える影響が大きくなっている、という印象が強いです。それはまた、"騎手の乗り方(=意識や戦略)"と言い換えることができるかもしれません。

 そんなことを踏まえると、このGIシリーズで僕は、特に各ジョッキーに注目。騎乗馬に対してどのくらいの理解度があって、どういう乗り方をしようとしているのか――この辺りを騎手目線に立って、重点的に考察していきたいと思っています。

――そこから、我々はレースの展開面などを思い描いたり、馬券検討におけるヒントが多く得られそうですね。では早速ですが、今週のGI高松宮記念(3月26日/中京・芝1200m)において、大西さんが着目している点を聞かせてください。

大西 近年のスプリント路線は、GII、GIIIといった重賞レベルでも勝ち馬がコロコロと変わり、絶対的な中心馬が不在です。そのため、GIでは直近の前哨戦を勝った馬や、実績のある素質馬が押し出されて人気になりますが、なかなかそのとおりには決まりません。

 この路線のレース検討においては、僕自身「人気ほどの実力差はない」という考えがベースにあります。

 また、昨年のスプリントGIを振り返ると、高松宮記念にしても、スプリンターズS(10月2日/中山・芝1200m)にしても、顕著な"内枠バイアス"が見られ、枠順による影響が大きかったと思います。そして今年も、週中から雨が続く天気予報となっており、再び特殊な馬場状態となって、何らかの馬場バイアスが生まれる可能性があることも頭に入れておきたいですね。

 そういう意味では、各騎手が馬場状態をどれだけ把握しているかが、ひとつのカギ。前日、当日の騎乗機会が多く、直前のレースまで騎乗しているジョッキーのほうが有利になるような気がします。

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