高松宮記念は「人気ほどの実力差はない」各ジョッキーが一発を目論むなかで浮上する穴馬候補 (2ページ目)

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku
  • photo by Kyodo News

――今年も下馬評では、前哨戦を勝ち上がった馬が人気を集めそうですが、そういった面々についてはどう見ていますか。

大西 今回と同じ舞台で行なわれたGIIIシルクロードS(1月29日/中京・芝1200m)を制したナムラクレア(牝4歳)は、久々の左回り、ハンデ56.5kgを克服したのは大きいですね。

 昨秋の2戦、GIII北九州記念(3着。小倉・芝1200m)とスプリンターズS(5着)では、鞍上の浜中俊騎手も騎乗面で悔しさが残るものがあったと思うので、ここは期するものがあるでしょう。

 GIII阪急杯(2月26日/阪神・芝1400m)を勝って、目下4連勝中の"上がり馬"アグリ(牡4歳)も勢いがあります。成長期の若駒らしく、走るごとに時計を詰めて、内容もよくなっていますね。

 芝1200m戦は過去に一度経験して、唯一馬券圏外(4着)に敗れていますが、僕はこの馬のスプリント性能は高いと見ています。というのも、阪急杯の1200m通過が1分7秒6。その時はもう、この馬が先頭を走っていましたからね。

 その他、上位人気になりそうなのは、中京・芝1200mで重賞2勝のメイケイエール(牝5歳)や、一昨年のスプリンターズSの覇者であるピクシーナイト(牡5歳)あたりでしょうか。

――どんなレースになりそうか、大西さんなりのイメージはありますか。

大西 春と秋のスプリントGIは、ちょうど海外の大きな国際競走(春はドバイワールドカップデー、秋は凱旋門賞)と日程が重なるため、リーディングの上位騎手がそちらの騎乗で遠征し、不在になることが多いです。

 その結果、中堅や若手騎手にとっては大きなチャンスとなり、自ずと「一発やってやろう」といった意識が強くなるもの。実際、昨年の高松宮記念では丸田恭介騎手が、スプリンターズSでは荻野極騎手が、GI初勝利を飾っています。

 今年も、現在リーディングトップの川田将雅騎手をはじめ、クリストフ・ルメール騎手、武豊騎手、坂井瑠星騎手といったトップジョッキーが不在。そうなると、すべての騎手が勝ちにいく意識を強く持って臨むはずで、それが想像以上にレースに影響すると睨んでいます。

 昨年同様、ゴール前は横一線の大激戦となっても不思議ではありません。

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