3歳牝馬唯一の重賞2勝馬キタウイング。陣営も期待していなかった地味な存在がクラシックで最高の輝きを放つか (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 こうして2つ目の重賞制覇を遂げたキタウイング。陣営もフェアリーSの勝利で、この馬の力を再認識したという。その様子を関東競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「陣営によると、フェアリーSは阪神JFの余力で出走した形だったとか。そのため、状態としては決して万全ではなかったそうです。『それで勝てたのは、馬に力がないとできない』とスタッフは脱帽していました。

 また、『阪神JFでは前に行って味が出なかった。やはりうしろから行く競馬だと能力を発揮する』とスタッフ。フェアリーSの勝利で、この馬の戦法も固まったようです」

 その血統から決して期待された存在ではなかった分、陣営もこれまで「いい意味で裏切られ続けてきた」という。

「もともと見栄えもいい馬ではなかったので、スタッフも『実戦に行ったら、思った以上によかった』と話しています。『小さい体ながらレースを使っても馬体減りせず、実戦で鍛えて強くなっていった』そうです。

 ということで、賞金は十分に足りているにもかかわらず、トライアルのGIIチューリップ賞(3月4日/阪神・芝1600m)を挟んで、GⅠ桜花賞(4月9日/阪神・芝1600m)へ向かうようです。すでに栗東に入っており、桜花賞まで栗東に滞在する予定。小島調教師は栗東滞在に慣れていますから、厩舎の必勝パターンと言えそうです」

 陣営も想定していなかった飛躍を遂げてきたキタウイング。クラシック本番ではどんな走りを披露するのか。磨き抜かれた"雑草魂"によって、良血馬たちを蹴散らす姿を見てみたい。

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