NHKマイルCに異例のローテで挑むセリフォス。重賞2勝の大本命馬に死角はあるか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Sankei Visual

 そうした懸念を示すと、先のトラックマンが首を横に振った。そして、朝日杯FSの競馬は「まさに"負けて強し"の内容だった」と言って、こう続ける。

「(朝日杯FSは)逃げた馬がブービーに終わって、先行勢は総崩れ。セリフォスも前半、勝ちにいったため、無理に位置を取りにいって、結果的にそのハイペースに巻き込まれてしまいました。しかし、前に行って唯一踏ん張ったのがこの馬です。

 最後は後ろからきたドウデュースには差されてしまいましたが、内容的にはこの馬が一番強い競馬をしています。あのレース自体、力負けではないし、あれがこの馬の能力の上限といったこともありません」

 この馬のレースぶりはひと言で言って「荒削り」。上手なレースはまだできていないが、ひとたびスイッチが入れば、ケタ違いの破壊力を発揮する。それだけに、競走馬としてのスケールのデカさを感じさせ、この先、どれほどの馬になるのか、という期待も抱かせる。

 また、この馬は右回りでも、左回りでも結果を出しているし、栗東から新潟までの輸送も経験している。若駒にとっては経験不足が災いになることが多々あるが、あらゆる面において"経験済み"というのは、相当なアドバンテージとなる。

 かくして、準備は万端に整った。

 この馬がまたしても"ぶっつけ"で結果を出すようなら、3歳GIに向かうローテーションの常識、すなわち「王道」といった概念は一段と薄れていくことになるだろう。

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