2022.05.03

「ウマ娘」で帰国子女として描かれるエルコンドルパサー。外国産馬の登竜門・NHKマイルCが最強伝説の始まりだった

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

「ウマ娘 プリティーダービー」に登場する個性的なキャラクターたちのなかでも、異彩を放っているのが、覆面を被ったアメリカからの帰国子女として描かれているエルコンドルパサーだ。アメリカ生まれながらメキシコ仕込みを伺わせるプロレス好きという設定で、アニメ版シーズン1では主人公であるスペシャルウィークのライバルの1人として登場、ダービーは同着優勝で分け合った。

1998年NHKマイルCを制したエルコンドルパサー1998年NHKマイルCを制したエルコンドルパサー  それに対してスマホゲーム版では、3歳時に当たるクラシック級において、三冠競走ではなく"世界最強"を目指し、「クラシック級でのジャパンカップ制覇」を目標とするストーリーになっている。

 史実のエルコンドルパサーは1995年生まれのアメリカ産馬。3歳(旧表記・現2歳/以下同)の11月に東京ダート1600mの新馬戦でデビュー。このデビュー戦ではスタートで行き脚がつかず、馬群の最後方を追走する一見すると苦しい展開となるも、直線だけで前を行く各馬をごぼう抜き。それだけでなく、後に重賞を勝つ2着馬に7馬身差をつける圧勝という、とんでもないパフォーマンスを発揮して、大活躍へと繋がる片りんを見せる。

 続く2戦目もダート1800m戦で圧勝し、3戦目に満を持しての芝レースのGIII共同通信杯を選択。ところが、大雪の影響で芝コースが使用できず、ダート変更・格づけなしの重賞となり、芝への挑戦はここを勝って臨んだGIIニュージーランドトロフィー(東京/芝1400m)でようやく果たすことができた。

 初の芝だけではなく、距離短縮、メンバーの大幅強化とあったなか、エルコンドルパサーは中団追走から難なくゴール前で抜けだして勝利。続くGINHKマイルカップ(東京/芝1600m)の大本命として不動の評価を得ることとなった。

 この年、春のクラシックはスペシャルウィーク、セイウンスカイ、キングヘイローが、いわゆる"三強"を構成していた。エルコンドルパサーも、これだけの馬ならこの3頭に割って入ってもおかしくないはず。しかし、エルコンドルパサーがそこに加わることが叶わない事情があった。