「ウマ娘」で帰国子女として描かれるエルコンドルパサー。外国産馬の登竜門・NHKマイルCが最強伝説の始まりだった (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 今では、外国産馬は当たり前のように日本のGIレースに出走することができるが、史実のエルコンドルパサーが活躍していた当時は、4歳のクラシック競走や春秋の天皇賞には出走が叶わない規則が存在した。これがゲーム版のストーリーで"クラシック級でのジャパンカップ勝利を目指す"における背景となっているのは言うまでもない。

 そして、当時の皐月賞やダービーに出走できない外国産馬(と短距離適性の馬)たちの4歳春シーズンの目標となるよう、1996年に創設されたのがNHKマイルCであったのだ。

 迎えたNHKマイルCでは、エルコンドルパサーのほかに、3歳時のGIIIラジオたんぱ杯3歳(阪神・芝2000m)でキングヘイローを破って3戦無敗のロードアックス、マイルでも2勝があり前走のGIIIクリスタルカップ(中山・芝1200m)を勝って4戦無敗のトキオパーフェクト、2戦2勝で重賞初挑戦のシンコウエドワードと、無敗馬が4頭も顔を揃えた。だがエルコンドルパサーは、これまでにない好スタートを切ると、直線では楽々と突き抜け、単勝1.8倍の断然人気に応えてみせた。

 こうして、5戦無敗でGIタイトルを手にしたエルコンドルパサー。しかし、これはまだその後に続く大活躍の序章に過ぎなかったが、この続きについてはまた別の機会としたい。

 その後、2000年代に入って段階的に外国産馬の出走制限は緩和され、G Iレースへの門戸が開かれるようになったが、そのあともNHKマイルCは外国産馬の登竜門的な存在として、クロフネや昨年のシュネルマイスターなどが勝ち馬として名を連ねている。

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