わずか2頭も、今年のジャパンCに挑む外国馬を侮ってはいけない (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Getty Images

 なにしろカプリは、体調不良による戦線離脱があった今年こそ、際立った成績は残せていないものの、3歳時の昨年は、GIアイルランドダービー(アイルランド・芝2400m)と、GIイギリスセントレジャー(イギリス・芝2900m)と、欧州のクラシックレースを2つ制覇。やや強引な表現をすれば、日本で言う、ダービーと菊花賞を制した二冠馬といった存在なのだ。

 とりわけ、アイルランドダービーでは、イギリスダービー馬のウイングスオブイーグルをはじめ、のちに欧州の2000m路線で最強馬となり、現在のワールドベストホースランキング1位タイのクラックスマン、今年の凱旋門賞で2番人気に推された(結果は4着)ヴァルトガイストら、そうそうたる面々を一蹴。先行策から早めに抜け出して押し切るレースぶりは圧巻だった。

 だからといって、日本で通用するかどうかは、また別の話。力の要る馬場で勝ってきたことや、長距離戦のセントレジャーを勝っていることで、芝2400m戦とはいえ、日本の固い馬場、そしてスピード決着に対応できるのか、疑問に思う声は多いに違いない。

 だが、昨年のアイダホもそんな声を囁かれながら、後方から伸びてきて5着となった。その末脚は、戦前の疑念を払拭するには十分だった。

 カプリもアイダホも同じガリレオ産駒であるが、実はガリレオの血は、ヨーロッパのような自然な芝コースに限らず、日本のように整地された速い馬場への適性が意外と高いのだ。

 たとえば、一昨年の凱旋門賞の勝ちタイムは2分23秒61だった。日本でもなかなかお目にかかれない高速決着となったが、勝ったファウンド、2着ハイランドリール、そして3着オーダーオブセントジョージと、上位3頭は皆、ガリレオ産駒だった。

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