【競馬】クラシックの足音。きさらぎ賞と共同通信杯を血統で斬る (2ページ目)

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Nikkan sports

 レガッタ(牡3、栗東・昆貢厩舎)は母が宝塚記念などGI3勝のスイープトウショウという良血馬。今回と同じ京都芝1800mで上がり3ハロン33秒2の瞬発力を見せて、新馬勝ちを収めている。父ディープインパクトと母の父エンドスウィープの配合は、昨年の勝ち馬トーセンスターダムと同じ。皐月賞やダービーではやや不安の配合でもあり、狙うならここだろう。

 ネオスターダム(牡3、栗東・石坂正厩舎)は前述のトーセンスターダムの半弟。父ネオユニヴァースは2003年の勝ち馬で、その産駒ネオヴァンドームも2010年の勝ち馬。この馬もこのレース向きの血統馬だ。未勝利を勝った直後だが軽視は禁物。

 アッシュゴールド(牡3、栗東・池江泰寿厩舎)は三冠馬オルフェーヴルの全弟。兄は2011年の3着馬で、シンザン記念2着を経ての出走だった。兄同様、京都芝1600mの重賞・デイリー杯2歳Sで2着しており、距離延長もプラスになるはず。

 そして、最大の注目株は牝馬ルージュバック(牝3、美浦・大竹正博厩舎)。百日草特別(東京・芝2000m)では、後にGIII京成杯を勝つベルーフに2馬身半差をつけるレコード勝ちで、強烈なインパクトを残した馬だ。父は菊花賞などを勝ったステイヤー、マンハッタンカフェで、母ジンジャーパンチはブリーダーズカップ・ディスタフ(3歳以上牝馬限定・ダート9ハロン)など、米GI6勝の名牝。ダート向きの血統構成ながら芝で非凡な瞬発力を見せており、血統の常識を覆(くつがえ)すとてつもない大物という雰囲気を醸し出している。きさらぎ賞が芝で行なわれるようになった1970年以降、牝馬の勝ち馬は出ていないが、ここを勝つようなら、昨年引退したジェンティルドンナに続く"女傑"に育つかもしれない。

 出走馬は8頭と少ないながら、好メンバーが揃ったきさらぎ賞。新たなスターホースの誕生が見られるか注目したい。

◆共同通信杯
 好相性のきさらぎ賞に対し、共同通信杯は未勝利と、ディープインパクト産駒にとってこのレースは得意な条件ではない。産駒がデビューしてからの4年間で14頭が出走して、2着2回、3着4回と毎年のように上位争いしてくるが、2011年ダノンバラード(9着)、2012年ディープブリランテ(2着)、2013年ラウンドワールド(4着)と、3頭の1番人気馬が期待を裏切っているのだ。

 ならば、どの産駒が強いかというと、2011、2012年はステイゴールド産駒が、ここ2年はフジキセキ産駒が2連覇中。その他ではミスタープロスペクター系が3頭と、全体的にスピードタイプの馬の台頭が目立っている。

 その意味でおもしろそうなのが、ダノンメジャー(牡3、栗東・橋口弘次郎厩舎)。父ダイワメジャーはGI高松宮記念(中京・芝1200m)を勝ったコパノリチャードなどを出しているリーディング上位種牡馬だ。1800mは2戦2勝だし、GIII京都2歳S2着と重賞実績も残している。前走のGIIホープフルSは1番人気で9着と敗れたが、今回のほうが条件は向くだろう。

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