【競馬】デビュー待たれる良血馬、サブトゥエンティは今...。
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第30回:サブトゥエンティ
サラブレッドはさまざまな血統を持ち、自らの血を後世につないでいく。その中で活躍馬を多く輩出する一族は、次第にファンから高い注目を集め、関係者も期待を持って見守るようになる。栗東トレーニングセンター(滋賀県)の松田国英厩舎に所属するサブトゥエンティ(牝3歳/父キングカメハメハ)も、そういった"一族"の血を引く一頭だ。
徐々に良化し始めているサブトゥエンティ。 サブトゥエンティの母は、2005年のGIIIクイーンカップ(東京・芝1600m)を制したライラプス。重賞勝利は生涯でそのひとつだったが、同馬は3歳時の牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)にすべて出走。最後の一冠となったGI秋華賞(京都・芝2000m)では5着と好走した。
そのライラプスの母は、現役時代(1998年~2000年)に重賞を4勝したフサイチエアデール。1999年の桜花賞(阪神・芝1600m)や、1999年、2000年のエリザベス女王杯(京都・芝2200m)では、GI制覇まであと一歩の2着と、能力の高さを見せた。
サブトゥエンティの祖母にあたるフサイチエアデールは、ライラプスを生んだ翌年にフサイチリシャールを出産。同馬は2005年のGI朝日杯フューチュリティS(中山・芝1600m)を制し、一族に悲願のGIタイトルをもたらした。フサイチリシャールはサブトゥエンティの叔父であり、まさに活躍馬の多い一族であることが見てとれる。
こうした優良な血統背景を持つサブトゥエンティだが、いまだデビューには至っていない。同馬の調整過程について、関西競馬専門紙のトラックマンが語る。
「9月末頃から入厩して調教を行なっていますが、ずっと併せた馬に遅れてしまっている状況でした。そのまま、あまり良化してこないので、12月には一度放牧に出されました。血統からして、やはり陣営の期待は高く、『馬自身に闘争心が出てくれば、もっと動きがよくなると思う』とコメントは出ていましたが、1月に再入厩して、そこからどれくらい上昇してくるか、というところですね」
松田国英厩舎は、フサイチエアデールをはじめ、ライラプスやフサイチリシャールなど、この一族のほとんどを管理してきた。サブトゥエンティは、まさにこの厩舎にとってゆかりの血統である。それだけに期待は高いが、実戦に向けてのスタッフのトーンはなかなか上がってこなかった。
しかしここに来て、少しずつ希望が見え始めてきているようだ。先述のトラックマンが続ける。
「1月28日の追い切りでは、ややタイムが良化。それだけで判断するのは早急かもしれませんが、わずかながら気配はよくなってきています。デビューについても、陣営は『調教を積むうちによくなれば』と話していて、そう遠くはないかもしれません。春の大一番への望みもまだ捨ててはいないようですから。また、サブトゥエンティは食欲旺盛で、強い調教をビシビシやってもヘコたれないとのこと。牝馬によくありがちな、『調教をするうちに体重が減って、稽古ができなくなる』という心配がないのは大きいと思いますよ」
強めの調教をしていく中で、サブトゥエンティの闘争心に火がつけば、一族の血が覚醒してもおかしくない。そうしてデビューの日を迎えられれば、素晴らしいレースを披露してくれるはずである。今後の動向をじっくりと見守りたい。