【競馬】打倒キズナの一番手は、怪物オルフェの「同級生」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • JRA●写真

 屈腱炎を跳ね返し、かつての走りを取り戻したウインバリアシオン。同馬がさらに周囲を驚かせたのは、復帰3走目となった日経賞の圧勝劇だ。

 後方に待機していたウインバリアシオンは、3コーナー12番手から軽く仕掛けると、直線入口では早くも先頭に立って、そのまま突き放してしまったのだ。他馬を子ども扱いにしたそのレースぶりには、もはや休養前を超える「凄み」が備わっていた。

「デビュー前からウインバリアシオンに携わっていましたが、その頃からこの馬が完成するのは古馬になってからだと思っていました。実際、ケガで休んでいる間に背は伸びて、体の幅も出てきた印象です。また、屈腱炎の症状が軽かったことから、休養中も適度に負荷をかけられたのもよかったと思います。普通は、休んでいる間に筋力や心肺機能が衰えてしまうのですが、それは避けられました。そう考えると、この休養が成長を促す期間になった部分はあるかもしれません」(大木氏)

 父ハーツクライは、4歳秋に急成長してディープインパクトを負かし、海外GIも勝利した。また、ウインバリアシオンと同じハーツクライ産駒のジャスタウェイ(牡5歳)は、昨秋から大変身。GⅡやGIIIであと一歩詰められなかった姿はどこかに消え、GI天皇賞・秋(2013年10月27日/東京・芝2000m)、海外GIのドバイデューティフリー(3月29日/メイダン・芝1800m)と、いずれも圧勝を決めている。ウインバリアシオンも例にもれず、大変身を遂げている可能性はある。

 数々の競走馬を見てきた大木氏でも、「屈腱炎を経て、さらに強くなる馬は珍しい」と言う。その成長の背景にあるのは父の遺伝子か。それとも、オルフェーヴルの影を追い続けたライバルの意地か。いずれにせよ、この週末の決戦は、その成長を証明する舞台となる。

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